東急建設がCO2排出量の削減率が従来比で70%以上の先送り材を「CURA GINZA」に適用導入事例

東急建設は「先送りモルタル」に替わる環境負荷低減型先送り材「サスタル」を開発した。同社では、サスタルの外販も予定しており、多くの建設現場にサスタルを普及させることで、環境負荷低減に貢献していく。

» 2021年11月02日 09時00分 公開
[BUILT]

 東急建設は、コンクリート工事のポンプ圧送に必要な「先送りモルタル※1」の代替品となる環境負荷低減型先送り材「サスタル」を開発し、東京都中央区銀座で計画を進めてきた商業施設「CURA GINZA」に初適用したことを2021年10月6日に発表した。

※1 先送りモルタル:コンクリートの圧送開始時に、コンクリートの品質確保を目的に、輸送管内壁の潤滑膜を形成するために使用されるモルタル。圧送後は廃棄処分される

素材全体の90%%以上が製造で生じる副産物を使用

 通常コンクリートをポンプ圧送する場合は、配管内への潤滑性の付与とコンクリートの品質変化を防止するために、先送りモルタルを使用する。しかし、生コン工場では、製造設備の性能により、先送りモルタルの少量生産が難しく、必要量(0.05〜0.2立方メートル程度)を超えた製造量(0.5〜1.0立方メートル程度)となり、余剰分の廃棄が問題視されていた。

 さらに、余った先送りモルタルの廃棄では、処理の過程で生コン工場などに負担がかかり、解決策が必要だった。

 そこで、東急建設では、現場で求められている量を製造でき、従来の先送りモルタルよりも少ない使用量で配管内に潤滑性を付加するサスタルを開発し、実用化した。サスタルは、現場で廃棄する先送り材を減らせる他、素材全体の90%%以上が製造で生じる副産物で構成されているため環境に優しい。

配管長約100メートルでのサスタルの圧送実験(左)とサスタルの投入例(右)

 加えて、製造過程で多くのCO2を排出するセメントの替わりに、CO2排出量の少ない高炉スラグ微粉末を多く使用することで、必要な圧縮強度である1平方ミリメートル当たり45ニュートンを確保しつつ、従来の先送りモルタルと比較して70%を超えるCO2排出量削減を達成している。

 サスタルを適用したCURA GINZAの工事は、グロブナー・リミテッドが出資する銀座歌舞伎が発注したもので、英国のDoone Silver Kerrがデザインを担当し、森建築デザイン事務所が設計を担い、フュージョンマネジメントプラッツがコンストラクションマネジメント(CM)を務めている。

 そして、グロブナー・リミテッドが所属するグロブナー・グループは、同グループが直接管理している全世界の建物で生じるCO2について、2030年までに排出量実質ゼロを目標とし、2050年までにエンボディド・カーボン(建築時の総排出二酸化炭素)および、オペレーショナル・カーボン(物件運用時の総排出二酸化炭素)の実質ゼロを目指すというコミットメントを発表している。

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