BIMビュワーアプリ「BIMx」がなぜ建築確認申請に有効なのか?実践的なワークフロー解説BIM確認申請(1/3 ページ)

ここ数年は、BIMの普及と共にBIMを用いた建築確認申請の実施例も増えつつある。BIMソフトの1つ「Archicad」も、2018年に審査機関がArchicadと同社のBIMビュワーアプリケーション「BIMx」を用いて電子申請を行い、戸建て住宅の確認済証を交付するなどの実績を上げている。そして今回、建築研究所がArchicadとBIMxを使い、木造戸建て住宅の建築確認に必要な図面検討とBIMを用いた審査における課題検討を行った。

» 2021年10月19日 10時11分 公開
[柳井完司BUILT]

 グラフィソフトジャパンは、「GRAPHISOFT ロードショーオンライン BIMにおける確認申請の未来」と題するオンラインセミナーを2021年8月24日に開催した。セミナーでは、「建築確認におけるBIM活用推進協議会戸建て作業部会」で、GRAPHISOFT SEの日本法人グラフィソフトジャパンがサンプルモデルの作成協力をしたプロジェクトを例に、協議会での取り組みや国内でのBIM確認申請の最新情報を紹介した。

 本稿では、当日のセッションのうち、グラフィソフトジャパン カスタマーサクセス 鈴木雄三氏が、「Archicad」のスマートデバイスまたはデスクトップ用のビュワーアプリ「BIMx」で行ったBIM建築確認申請のフローを解説したセッションを採り上げる。

「BIMx」で読み込むBIMモデル「Hyper-Model」のデータ構成と活用方法

 「Archicad確認申請サンプルプロジェクト」で、グラフィソフトジャパンは審査用のBIMデータを制作・提供する形で協力したが、プロジェクトにデータ編集担当として参加したのがグラフィソフトジャパン カスタマーサクセス 鈴木雄三氏だ。

 鈴木氏は、建築確認申請で主に設計者が担当する「代理者」の立場として、実際に確認申請の申請・指摘対応・図面差し替え作業を行った経験者であり、しかも、申請を受け付けて審査し、中間・完了検査を行う経験と資格も備えている稀有(けう)なエンジニア。サンプルプロジェクトでは、氏の豊富な経験を生かして、確認申請に関わる申請/審査の両面を支援したという。

グラフィソフトジャパン カスタマーサクセス 鈴木雄三氏

 鈴木氏のプレゼンテーションでは、タブレット上の専用アプリBIMxでの操作を交えながら、Archicadから出力したプロジェクトの設計図書を含むBIMxモデル=「Hyper-Model」のデータ構成と確認申請の審査での活用方法を披露。続いて、そのデータがArchicadでどのように設定され、どのように作成されたのかを示し、最後にサンプルプロジェクトのモデルデータのダウンロード方法とその活用例までを実演しながら説明した。

 鈴木氏はサンプルプロジェクト用Hyper-Modelのデータを、iPadのBIMxアプリで開き、画面をセミナー参加者と共有した。「4号特例」と命名されたフォルダには、審査に必要な情報を記載した7枚の図面を格納。一方、「LVS検討追記」のフォルダには、審査免除とならない場合の一般的な法検討を追記した図面である。その他、審査の補助となりそうな表現を設定したモデルも、6つほど準備されていた。鈴木氏は、bimx形式ファイルのHyper-Modelデータを開き、さまざまな角度や距離で動かして見せた。

サンプルプロジェクトのHyper-ModelデータをiPadのBIMxアプリで開く

 Archicadで作成したBIMモデルをBIMx形式で保存または発行して生成するHyper-Modelの利点として、「審査に先立って敷地状況や建物形状など、モデルの全体像を把握することができる」と鈴木氏は話す。また、特定の図面やモデルには、画面左上の“INDEX”から素早くアクセスすることが可能で、図面もPDFデータを見る感覚で閲覧できる。もちろんページ送りや拡大縮小も、スムーズかつ直感的な操作性となっている。

iPadのBIMxアプリで図面と3Dモデルを重ね合わせて表示した画面
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