建材設備のBIMデータを無償で提供するプラットフォームサービス「BIMobject」が日本上陸。建材・設備メーカーにとっては、新しいマーケティングツールになる可能性も。
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日本の建設業界でも普及が広がりつつあるBIM。一方、今後BIMを利用した設計施工のさらなる効率化を図るには、さまざまな建材や設備の3Dモデル(BIMオブジェクト)の普及が欠かせない。
建材商社の野原ホールディングスはスウェーデンのBIMobject AB社と手を組み、日本国内の建設事業者向けにこうしたBIMオブジェクトを無償提供する、新しいプラットフォームサービス2018年2月から本格的に開始した。日本国内では珍しいBIMオブジェクトの提供サービスであるとともに、建材・設備メーカーにとっては新しいマーケティングツールにもなり得る注目のサービスだ。
提供するサービスの名称は「BIMobject」。日本での展開にあたり、野原ホールディングスとBIMobject AB社は共同出資で運営会社のBIMobject Japanを2017年12月に設立。資本金約2億7400万円の出資比率はBIMobject ABが51%、野原ホールディングスが49%で、本社は東京都新宿区。代表取締役社長は野原ホールディングスの東政宏氏が務める。
※当初「野原産業とBIMobject AB社は共同出資で運営会社のBIMobject Japanを2017年12月に設立」「代表取締役社長は野原産業の東政宏氏が務める。」と記載していましたが、野原産業ではなく、野原ホールディングスの誤りでした。お詫びして訂正いたします。
BIMobjectは利用登録を行うと、無償でさまざまな建材・設備メーカーのBIMオブジェクトをダウンロードできるというサービスだ。既にBIMobject AB社は同サービスをグローバルに展開しており、現在、世界1000社以上のBIMオブジェクトと、64万人以上のユーザー数を持つ。2018年2月1日時点で、約4万5000点の製品シリーズ、約29万点のパラメトリックBIMオブジェクトにアクセスできる。
BIMに取り組む事業者が扱いやすいよう、さまざまなCADソフトとの連携できる点も特徴という。専用のアプリケーションをダウンロードすれば、Vectorworks、RevitやAutoCAD、ARCHICAD、SketchUpなどの主要なCADソフトからBIMobjectに直接アクセスできるようになっている。
ただし、日本の建材・設備メーカーの海外支部が登録している製品はあるが、国内向けに登録している日本企業は現時点で0社。既に引き合いはあり、今後増えていく見通しという。目標は今後10年で製品を登録する日本企業は1000社、ユーザー数は50万人を目指す計画だ。
2018年2月1日に開催した説明会に登壇した野原ホールディングス 取締役の野原弘輔氏は、BIMobject ABと共同でBIMオブジェクトのプラットフォームサービスを展開する理由について、「野原ホールディングスは2016年から、BIMの導入支援事業を開始している。その中で、今後BIMの活用をさらに発展させる上では、設計の上流段階で導入する製品や建材などを決める、フロントローディングが重要になると感じた。その際に、BIMオブジェクトの普及は非常に重要な鍵になる。当初はサービスの自社開発を検討していたが、シンガポールで建材製品のデータベース事業に携わった際にBIMobjectのことを知り、その先見性に感銘を受けて協業を決めた。日本国内でBIMソフトの利用率が高まるにつれて、BIMobjectのニーズも高まると見込んでいる」と話す。
BIMobjectは、こうしたBIMオブジェクトの提供プラットフォームサービスとして「欧米ではユーザー数、ダウンロード数でトップ」(野原氏)としており、こうした実績も協業の決め手になったという。
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