標識サインやガードレールなどの設計から製造まで行っているアークノハラは、遠隔操作で、地下に格納した車止めを地上に上昇させるシンプルな交通管理システムを開発した。違法通行や違法駐車の対策の他、歩行者天国の確保といった活用方法も見込まれる。
野原ホールディングス傘下のアークノハラは2018年8月1日、車止め(ボラード)が自動で地上に現れ、車両通行を規制する「自発光ソフトライジングボラード(以下、ボラード)」を発売した。
自発光ソフトライジングボラードは積水樹脂と共同開発した製品。道路の地下に格納されたボラードが、自動昇降して地上に出現し、車両の通行を規制する。規制を中止する際は、ボラードを地下のボックスに収納することで、再び車両通行が可能になる。
海外の主要都市の中心市街地では、車両侵入抑止策、鉄鋼製のライジングボラードが普及している。国内では、時速30km(キロ)に制限する「ゾーン30」などの対策がなされてきたが、学童や住民の安全確保に加え、近年はライジングボードの導入を検討している自治体が増えているという。
ボラードの安全性は、製品のポール部分にクルマのヘッドライトに反射する蛍光反射シートが巻き付けられている他、上部には高輝度LEDも備え付けられ、ドライバーや歩行者からの視認性を高めている。ポラード以外の機器としては、道の一部または歩道側に設置する路側ユニットがあり、制御板、音声パトライト、エリアセンサーを搭載。ボラードの稼働時には、回転灯と音声ガイドが周囲に注意喚起する。
ボラード自体の素材には、特殊樹脂を採用し、車両に万一接触しても車体へのダメージを軽減。救急車などの緊急車両が、踏み倒して通過することもでき、クリープ速度であればすぐに復元するという。
昇降機能は3タイプに対応し、タイマー制御、リモコン制御、他のシステムとの連携の各制御に応じる。
具体的な利用目的としては、生活道路の抜け道利用禁止、時間外の違法駐車対策、交通事故防止、許可車両のみの通行許可など、スムーズな交通を維持するのに役立つ。また、曜日や時間帯での昇降設定により、路上イベントスペースや歩行者天国の確保につながる。
車両認識システムとの連動で、特定道路に設定し、例えばエコカーなど指定した車両以外の交通量を抑制する「ロードプライシング」への活用も見込める。ロードプライシングの手法は、観光渋滞が発生している観光地の渋滞解消に期待されており、国内でもニースは今後高まっていくことが良そうされる。
アークノハラでは今後の展開として、生活道路・通学路の安全対策はもちろん、渋滞対策や防災・減災対策、民間駐車場など、多様な分野への提案を進め、東京オリンピック・パラリンピック開催時の競技場周辺での車両制限への導入を目指すとしている。
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