三井住友建設が新型の鉄筋組立自動化システムを能登川工場に導入、生産性を3倍向上ロボット

三井住友建設は、ロボットを活用した鉄筋組立自動化システム「RobotarasII/ROBOT Arm Rebar Assembly System II」を、同社が滋賀県で保有する能登川工場に導入した。RobotarasIIを能登川工場に配置したことで従来と比較して3倍の生産性向上を実現した。

» 2021年10月08日 07時00分 公開
[BUILT]

 三井住友建設は2021年9月3日、ロボットを活用した鉄筋組立自動化システム「RobotarasII/ROBOT Arm Rebar Assembly System II(以下、RobotarasII)」を開発し、同社が滋賀県で保有する能登川工場に導入したことを発表した。

作業員は自動組立では対応できない仕事を担当

 能登川工場では、担い手不足の解消や作業負担の軽減、生産性向上を目的に、プレキャスト(PC)床版で使う鉄筋の供給、配置、結束の作業で、RobotarasIIを採用した。RobotarasIIを完備後、PC床版の鉄筋組立における大部分を自動化し、従業員は、鉄筋供給機への鉄筋の補充や鉄筋結束機へのワイヤ充填といった補助業務の他、結束した鉄筋の幅を保つために設ける幅止め筋の取り付けなど、自動組立では対応できない仕事を担当している。

 RobotarasIIは、11種類の鉄筋供給機、2台の3次元カメラ付き天吊りロボット、コンベヤー、3種類ある鉄筋配置用の鉄筋保持治具、鉄筋架台、市販の鉄筋結束機、下筋結束用ロボットで構成される。

鉄筋組立自動化システム「RobotarasII」 出典:三井住友建設プレスリリース

 RobotarasIIによる鉄筋組立作業の手順は、まず施設の外周に配置した11種類の鉄筋供給機が天吊りロボットアームの半径内に鉄筋をコンベヤーで搬送する。次に、2台の天吊りロボットアームが3種ある鉄筋配置用の鉄筋保持治具を自動装着し、鉄筋架台に鉄筋を備える。

 続いて、市販の鉄筋結束機に自動脱着した2台の天吊りロボットアームと、装置下部に設けた1台の下筋結束用ロボットで鉄筋を結束する。加えて、ロボットアームの先端に搭載された3次元カメラで、鉄筋結束時にプログラミング位置との配置誤差を認識・補正して確実に鉄筋をまとめる。

RobotarasIIの全体図(左)と鉄筋組立完了したPC床版(右) 出典:三井住友建設プレスリリース

 同工場におけるRobotarasIIの効果に関しては、製造する鉄筋の約85%を自動組立作業で作れるようになった。また、これまで6人で1日当たり2枚の鉄筋組立を実施していたが、これが2人で行えるようになり、従来と比較して3倍の生産性向上を実現した。

 能登川工場のRobotarasIIで製造された鉄筋は、三井住友建設ら※1 が2021年5月19日〜6月27日に、大阪府池田市神田〜兵庫県宝塚市売布で行った「中国自動車道(特定更新等) 中国池田IC〜宝塚IC間橋梁(きょうりょう)更新工事」で採用されている。具体的には大阪府池田市にある川西高架橋の床版取替で使用する標準形状のPC床版に適用。

※1 三井住友建設ら:横河ブリッジ・三井住友建設・IHIイン フラシステム・奥村組・横河NSエンジニアリング 中国自動車道(特定更新など) 中国池田IC〜宝塚IC間橋梁更新工 事特定建設工事共同企業体

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