室内の換気と湿気の排出が同時に可能なルームエアコンを発売、ダイキン工業製品動向(2/2 ページ)

» 2021年09月24日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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コロナ禍で優れた除湿性能を持つルームエアコンの需要が拡大

ダイキン工業 空調生産本部 小型RA商品グループ リーダー 主任技師 岡本高宏氏 出典:ダイキン工業

 次に登壇したダイキン工業の岡本氏は、「国内では、多くの住民が大半の時間を家の中で過ごす生活を続けており、定期的な窓開け換気や洗濯物の部屋干し、在宅による料理と食事回数の増加で、室内の空気環境が変化している。とくに、梅雨時における室内の湿度上昇が顕著で、2020年6月には、全体の80%を超える家庭で室内の湿度が60%を上回り、熱中症のリスクが高まる湿度70%や80%を超過する家庭は2019年と比べて倍増した。こういった問題もあり、昨今のルームエアコンは、換気機能だけでなく、優れた除湿性能や抗ウイルス性が求められている」と語った。

 上記のニーズを踏まえて開発したのがうるさらXの新モデルだ。新モデルは、室外機に新たに搭載した「ダンパー構造」と「高静圧ターボファン」により、給気と排気の換気方式を「給気換気」もしくは「排気換気」にリモコンで切り替えられる。排気換気では室内を換気しつつ不快な熱や湿気を屋外に排出する。

「ダンパー構造」と「高静圧ターボファン」の概要 出典:ダイキン工業
「給気換気」と「排気換気」の概要 出典:ダイキン工業

 今回のモデルは、新機能として、「AI 快適自動運転」や乾燥運転「内部クリーン」と排気換気の連携、除湿制御「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」、抗ウイルス作用を持つ静電フィルター「抗ウイルスフィルター」、消費電力を抑制する「パワーセレクト」、室温に応じて自動で冷房運転する「高温防止モード」も搭載している。

 AI 快適自動運転は、屋内外の温度差によって換気方式を切り替える「換気自動モード」を備えている。換気自動モードは、冷房開始時に部屋の温度が屋外より高い場合、冷房と排気換気を同時に行い、室内にこもった熱を屋外に排出する。そして、室温が外気よりも低くなると、給気換気に切り替え、屋外の新鮮な空気を冷やして室内に届ける。このモードは冷房運転の立ち上げに役立つ。

 内部クリーンでは、乾燥運転時に排気換気が自動的に連動し、気化した水分を機内の換気ホースから屋外に放出することで、運転停止後の湿度戻りを軽減し、室内の湿度上昇を抑える。

新モデルの内部クリーン運転 出典:ダイキン工業

 「通常のエアコンは、冷房運転や除湿運転の際に、室内機内部の熱交換器で生じる結露によるカビの発生を防ぐため、両運転の停止後は、熱交換器に残った水分を乾かす内部クリーンを行う。これまでの内部クリーンは、熱交換器の乾燥に伴って気化した水分が室内に放出され、室内の湿度が上がるという課題があったが、排気換気と内部クリーンの連動はこういった問題を解消している」(岡本氏)。

 さらら除湿は、気温や湿度に応じて必要な除湿量を小容量から大容量までリニアに制御できる「多段階電子膨張弁」を室内機に用いた除湿制御で、夏場の除湿量を大幅に増加するとともに、外気温度が14度の涼しい日でも快適な湿度の環境を構築する。

新モデルの「多段階電子膨張弁」の機能 出典:ダイキン工業

 岡本氏は、「一般的にエアコンの除湿運転は、室温が高いと効率的に湿度を下げるが、室温が低い場合には温度がダウンしすぎ寒くなる。その後、ユーザーは室温上昇を目的に暖房機器を活用し消費電力が増加するケースが多かった。そのため、肌寒くても湿度が気になる梅雨や春先、秋口には効果的な除湿が困難だった。解決策として当社はさらら除湿を開発した」と述べた。

さらら除湿の効果 出典:ダイキン工業

 抗ウイルスフィルターは、ウイルス抑制効果の高いフィルターで、浮遊ウイルスを捕集し、うるさらXが従来のタイプより有している「ストリーマ空気清浄運転」と併用することで、室内の浮遊ウイルスを減らせる。ストリーマ空気清浄運転は、10万度の熱エネルギーに相当する酸化分解力でエアコン内部の有害物質を無害化することができる。

 パワーセレクトは、電流値の上限を設けてエアコンの能力を抑制することで、上限の電流を最大約15%カットし、電力消費に伴うCO2の排出量削減にも貢献する。高温防止モードは、室内が高温になると自動で冷房運転をスタートし、室外機には外気温が50度でも冷房運転が可能な仕様を採用している。

うるさらXの新タイプの種類と価格 出典:ダイキン工業
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