中小企業庁のデータによれば、国内の自然災害の発生件数は変動を伴いながら増加傾向にある。こういった状況を受け、ダイキン工業は、大地震や台風などにも耐えられるビル向け業務用新マルチエアコンを開発。また、店舗・オフィス向けには室内機の内部を洗浄する機能を備えた新エアコン「スカイエア」も製品化させた。
ダイキン工業は2020年4月1日、中〜大規模ビル向け業務用マルチエアコン「VRVXシリーズ」と、店舗・オフィス向けエアコン「スカイエア」を発売する。
2019年12月5日に開催された記者発表会では、両製品の開発背景や関連するソリューションなどが紹介された。
冒頭、ダイキン工業 常務執行役員 空調営業本部副本部長の竹中直文氏は、「業務用エアコンは国内で年間80〜85万台販売されており、2019年度は市場全体として出荷数量が増加傾向だった。2018年における猛暑の影響や公立学校での空調設備導入の加速が需要増大に貢献した。また、建設業界は、2020年開催の東京オリンピックを契機に、首都圏の大規模開発が踊り場を迎えるが、その後も、大阪万博や北海道のリゾートなどの建設が見込まれており、業務用エアコンのニーズも拡大すると予想している」と語った。
続けて、「近年、自然災害が相次いで発生しており、生活のインフラである空調機は、過酷な環境で稼働しなければならない。こういった点を踏まえ、エネルギー消費量の削減を進めるとともに、BCPにも役立つ製品を目指し、機器自体の強度を向上させたのがVRVXシリーズだ」と述べ、両製品について説明した。
VRVXの最大の特徴は、室外機のフレーム構造を強化することで、耐震性・耐風性を高めていること。震度7相当の振動試験や風速毎秒60メート相当の耐久テストをクリアしている。
また、熱交換効率の高いマイクロチャネル熱交換器を搭載しており、外気温41度まで定格冷房能力を維持し、酷暑の厳しい環境でも安定した冷房能力を発揮するという。マイクロチャネル熱交換器の冷媒流路に溝付き穴を設け、冷媒と熱交換器の接する表面積を大きくすることで、熱交換効率を高め、省エネ性能を向上させている。
一方、スカイエアの特徴は、室内機に「水内部クリーン機能」を有しており、冷房や除湿運転終了後に、結露水で熱交換器に付着したホコリの洗浄と、送風と加熱運転による内側の乾燥を実現していること。この機能により、カビの養分となるホコリの除去と熱交換器のカビの成長を抑制し、室内機の内部を清潔に保てる。
さらに、スカイエアは、人の不在を自動で検知し、最大運転能力を抑える「不在時節電機能」を実装しており、エアコンを停止することなく、無駄の少ない節電運転が行える。冷媒には環境性と省エネ性に優れた「R32」を採用し、従来機と比べて室外機本体の重量を8馬力タイプでマイナス19キロ、10馬力タイプでマイナス13キロ軽量化している。
両製品はいずれもオープンプライスだという。
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