ネクスコ東日本エンジニアリングは、道路橋の接合部で生じる漏水を防ぐソリューションとして、埋設型止水装置「Keep dry E」と舗装浸透水排水装置「S&SD drain」を開発した。
国内の道路梁では、降雨の際に、道路の接合部で漏水が発生し、支承や下部工で腐食が生じるという問題が起きていた。また、集水桝(ます)を取り付けられる場所が限定されるため、路面や路肩に水が滞水し、コンクリート床版の劣化につながっていた。
上記の課題を解消するために、ネクスコ東日本エンジニアリングは、道路橋向けに埋設型止水装置「Keep dry E」と舗装浸透水排水装置「S&SD drain」を開発した。同社は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げた建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2021」(会期:2021年7月14〜16日、インテックス大阪)内の「インフラ検査・維持管理展」で、Keep dry EとS&SD drainをPRした。
Keep dry Eは、固定支承の既設道路橋を対象としており、一時止水用のポリブタジエンゲル材や二次止水用の止水用ゴムシート、目地材のゴム板、エポキシ樹脂を塗装した補強鉄筋、ステンレス性のアンカーと型枠兼用支持金具で構成され、道路の接合部に取り付けることで漏水を防げる。
施工手順は、道路橋の既設伸縮装置を撤去し、間詰用発報スチロールを配置する。既設伸縮装置を外した部分にKeep dry Eを組み立てて搭載。続いて、Keep dry Eの上から超速硬コンクリートを打設した後、止水充填材を流し込み、防水層と舗装の施工を行い完了する。
ネクスコ東日本エンジニアリングの担当者は、「Keep dry Eは、床版の接合部に埋設することで漏水を防止できるため、支承と下部工の腐食と劣化を防げる他、路面の段差による騒音を減らし、走行性を高める。さらに、支承と下部工の腐食や劣化を低減可能なので、維持管理のコストをカットする。当社ではこれまで20基の道路橋にKeep dry Eを適用した実績がある」と説明した。
S&SD drainは、新設道路橋のコンクリート壁高欄と表層や基層、防水層の間に設ける「TYPE-A」と防水層の下に設置する「TYPE-B」の2種類を用意している。TYPE-Aは、路肩滞水の排水を行うグレーチングドームや舗装浸透水を除水する側面水抜き孔、コンクリート定着帯、アウターパイプ(排水管)から成り、東拓工業との共同開発品。TYPE-Bは、浸透水を排出するヘッド、コンクリート定着体、アウターパイプで構成される。
「S&SD drainは、道路橋に装着することで、路面や路肩の滞水や防水層にたまった舗装浸透水を排出し、舗装および床版の耐久性を向上する。加えて、TYPE-Aのグレーチングドームは、2重管構造で土砂などによる詰まりが起きず、材質はステンレスで耐腐食性に優れ、清掃も簡単だ。当社ではこれまで77橋の道路橋にS&SD drainを適用した実績を持つ」(ネクスコ東日本エンジニアリングの担当者)。
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