東急建設がウェアラブルセンサーから取得した連続した体温データの解析から発症の兆しを検出する「熱中症予防管理システム」の実証実験を都内の建設現場で開始。深部体温に着目し、ウェアラブルセンサーにより臍部周辺から深部体温の近似値データを連続して取得し解析する。
東急建設は、建設現場における熱中症ゼロを目指し、ウェアラブルセンサーから取得した連続した体温データの解析から発症の兆しを検出する「熱中症予防管理システム」の実証実験を、都内の建設現場で開始した。
熱中症は「身体に徐々に蓄積された熱を排出できなくなった状態」であるため、体温の上昇具合が急変化するタイミングが発症の判断点となる。よって今回の熱中症予防管理システムでは、通常時から連続して体温データを取得することで異変を検知する仕組みになっている。
同システムは、MEDITAが開発中のウェアラブルセンサーを装着し、臍部周辺から深部体温の近似値データを連続して取得し解析することで、熱中症の兆しを検出するものだ。ウェアラブルセンサーを活用するため、作業従事者の身体的負担を軽減できる。
また、取得した値を作業中の建設技能者や職長などの周囲の人にも情報送信し、休憩や給水を促し、熱中症を防ぐ。
実証実験は、季節が異なる8月と10月の2回を予定し、実際に作業を行う建設技能者が終日センサーを装着して、取得データの精度や作業中の装着感の調査を行う。
工事現場は、屋外作業が多く、屋内でも空調設備が整わないなど、厳しい労働環境にある。大型扇風機やドライミストなどによる暑さ指数(WBGT値)の低減、水分や塩分の摂取など、さまざまな対策が行われるが、厚生労働省の調査によれば、全業種平均2.5%に対し、建設業は4.9%という高い割合で熱中症が発生していた。
過去には心拍や血流などのバイタルサインによる予防を試みてきたが、個々の身体は異なり、かつ常時作業を行う状況において熱中症の兆しを判断することは非常に困難だった。
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