鹿島建設は、リコーが開発したVRシステム「リコーバーチャルワークプレイス」の現場への導入を開始した。
鹿島建設は、新潟県長岡市で施工中の「大河津分水路新第二床固改築I期工事」で、リコーが開発したVRシステム「リコーバーチャルワークプレイス(VWP)」を導入し、現場の遠隔管理に向けた取り組みを開始したことを2021年6月24日に発表した。
建設工事では、複数の関係者が同じ場所に集い、現場を確認の上、コミュニケーションを取りながら意思決定を行う場面が多く発生する。しかし、近年は、IoTの進展とともに、生産性の向上や新型コロナウイルスの感染対策などを目的に、現場でも遠隔臨場やリモートワークといった新しい働き方が求められている。そして、さまざまな資料を用いて関係者全員が建設プロセスやイメージを共有することは一層難しくなり、合意形成に時間を要するケースも増えている。
上記のような状況を踏まえて、両社はVWPを用いた現場の遠隔管理に踏み切った。VWPは、インターネットにつながったPCとVRゴーグル、専用アプリケーションを使い、遠隔から多人数が同時に同じVR空間に入り、各作業者が自由な視点でコミュニケーションできる。
特徴は、VR空間内に、BIM/CIMモデルやパノラマ写真、3Dスキャナーで計測した点群データを設置可能なため、遠隔地から現場の状況を現地で実際に立ち会うのと同様に確かめられる点。
VR空間内では、各作業者が互いに話し合え、3Dスキャナーで計測した構造物の点群計測や電子書類のチェック、書類へのサインを行えるため、遠隔臨場での立ち会いにも応じている。今回の工事で使用したVWPでは、現場カメラのライブ配信映像をVR空間内で共有する機能を新たに実装しており、複数の遠隔地から実際の現場映像を見ながら打ち合せが行える。
今回の工事で導入するに当たっては、国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所や鹿島建設JV事務所、東京都港区にある鹿島建設本社の3拠点から、BIM/CIMモデルや点群データ、現場カメラのライブ配信映像をVR空間内で共有できることを確認し、2021年5月に運用を開始した。
今後、鹿島建設は、活用し、発注者とともにスピーディーかつ現場状況に合致した適正な意思決定VWPを活用する見込みだ。加えて、リコーと共同で、パノラマカメラのライブ配信映像の組み込みといったシステムの高度化や現場管理ツールとの連携を進める。
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