アクティオは、建設現場での事故ゼロを目指したVRレンタルサービスを2018年7月からスタートさせる。VRは水平視野210度で5K映像のヘッドマウントを採用。今まで以上に没入感とリアル度が増し、被験者は実際に転落事故に遭遇したかのような体験ができる。
アクティオは2018年4月20日、建設現場で人の安全教育・安全訓練にVR(仮想現実)を採用したレンタルシステム「Safety Training System VR of AKTIO」のサービスを7月2日から開始すると発表した。
同社のVRシステムは、視野角が210度まである5Kの有機ELディスプレイを使って、建設業の労働災害で最も高いシェアを占める高所作業からの墜落事故を疑似体験させる。被験者は、5Kのスーパーリアルな映像で高所からの転落や転倒を疑似的に体験することで、実際の現場でも不安全行動をとらないようになるなど、安全の意識が確実に変わる。
建設業の労働災害での死亡事故はここ数年、減少傾向にあったが、2017年は増加に反転したという。アクティオでは、増加理由を建設現場にベテランが減り、作業のノウハウを伝える人がいなくなっていることや仮に座学で安全対策を学んでも実体験を伴わないため、安全への意識が希薄だと指摘する。そのためVRシステムで、疑似的に事故を経験し、どこに危険があるか、安全でない行動はどういう結果を招くか、安全意識の高揚につなげたいとしている。
システム開発にあたり、アクティオは3社と協業。クラウド連携やVRコンテンツのシステムインテグレーション全般を「ACCESS」、高精細CGのVRコンテンツ製作を「ビーライズ」、VR機器を「STARVR CORPORATION」と、各社の強みを合わせて新たなVRサービスを開発した。
使用するVR機器は、VRヘッドマウント、ヘッドフォン、PC、専用カメラ×2台、三脚で構成。建設会社などの安全大会や講習会などをターゲットに、レンタル料金3日間30万円(税別)で提供していく。契約目標は今後1年間で50社を掲げている。
VRヘッドマウントは、台北に本社を置きBtoB向けにVR機器製作を行っている「STARVR CORPORATION」が開発した「StarVR」。VRで一般的な110度の視野角では没入感が薄く、“VR酔い”もあったため、5Kの有機ELディスプレイに水平210度の視野角を持たせた。
20日にアクティオ本社で行われた実演デモでは、高所作業車からの墜落と転落のシナリオを体験。被験者が、高所作業車から転倒する映像の際に、あまりのリアルさのため、その場で現実に倒れ込みそうになる光景も見られた。
アクティオ IoT事業推進部の担当者は、「現在は高所作業車の2パターンのみだが、建機メーカーとの協業も視野に入れ、バックホウなど大型重機の事故のコンテンツも拡充させたい」と話す。
VR機器のスペックは、ディスプレイは5.1インチAMOLED。解像度は5120(片眼2560)×1440ドット、リフレッシュレートは60〜90Hz。サイズは259×144×91mm、重量は530g。
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