日鉄興和不動産は同社初となる新築マンションの「体験型VRモデルルーム」に、スタイルポートのクラウド型VR内覧システム「ROOV walk」を採用した。モデルルームを作って見せるという既存のマンション販売の在り方を変革し、非接触が求められるコロナ禍でも有効な販売戦略の一つと位置付けている。
スタイルポートのVR内覧システム「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」が、2021年2月11日に神奈川県横浜市中区でオープンした日鉄興和不動産のモデルルーム「横濱ギャラリー」と千葉県松戸市で運営している「松戸ギャラリー」に導入された。両ギャラリーでリアルのモデルルームだけでなく、プロジェクションマッピングとROOV walkを組み合わせたヴァーチャルの「体験型VRモデルルーム」を新設し、将来の脱モデルルームを可能にする新たな販売戦略の手法として、他物件でも活用していく。
同年11月中旬に竣工する11階建てマンション「リビオレゾン横濱関内」の販売拠点となる横濱ギャラリーのオープンに合わせ、2月18日にはプレス内覧会を開催し、ROOV walk導入の意図や各種機能などを説明した。
ROOV walkは、スタイルポートが開発した不動産販売支援ツールのプラットフォーム「ROOV」で、2020年2月にリリースした商談で必要となるあらゆる物件情報をクラウドに集約した「ROOV compass(ルーブ コンパス)」と並ぶサービスの一つ。ROOV walkは、CAD図面をベースに作成した3DCGで仮想のモデルルームを再現し、内見者が竣工前の居住空間をより現実に近い感覚でイメージしながら、インテリアサンプルの表示やカラーセレクト、採寸、家具の配置といったシミュレーションがタブレットなどの各種デバイスで行えるクラウド型のVR内覧システム。
開発の背景には、新築の賃貸住宅業界では、ライフスタイルや住まい選びの選択肢多様化などの社会変化を受け、マンションのモデルルーム設置を前提とした従来の販売手法から、合同ギャラリーや脱モデルルームといったトレンドが起きていることがある。こうした市場の要請に応えるべく、スタイルポートではROOVをマンションデベロッパーなどに提供しており、新型コロナウイルス感染症の流行を機に、急速に進んだ顧客とのコミュニケーションの非接触・効率化といったニーズの高まりも追い風となったことで、今では62社200プロジェクトでの採用実績があるという(2021年2月現在)。
ROOV walkを採り入れた横濱ギャラリーでは、リビオレゾン横濱関内の1室を模したモデルルームや物件の紹介動画を放映するプロジェクションマッピングも備え、実物と仮想空間の両面からのアプローチで、完成前のマンションの魅力を伝えている。
リビオレゾン横濱関内は、幅広いライフスタイルに対応する都市型駅チカの分譲マンションで、神奈川県初となる「リビオレゾン」のブランド名通り、JR京浜東北線・根岸線「関内」駅と市営地下鉄ブルーライン「伊勢佐木長者町」駅からともに徒歩5分の距離に位置する。間取りは、1LDK、1LDK+S、2LDK、3LDKの合計39戸が混在し、ファミリーだけでなく単身者もターゲットとしている。
横濱ギャラリーを管理する日鉄興和不動産 販売推進部 野邉裕樹氏は、「最近の傾向として、間取りが複数ある物件が増えており、とくに駅チカ物件は単身者のニーズも高い。専有面積は32.21〜61.46平方メートルで、このうちギャラリーに配置したモデルルームは、単身者にとっても広すぎず、横浜エリアでは稀(まれ)な45.76平方メートルの2LDKを想定。2021年度の税制改正大綱で、住宅購入の促進を目的に、住宅ローン控除がこれまでの内法面積40平方メートル以上に条件緩和されることを見据えた部屋の仕様としている」と話す。横濱ギャラリーには、これまでに500件以上の問い合わせが寄せられ、内覧会に60組が訪れ、引き合いは好調だという。
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