エアロセンスは、ドローンによる測量だけではなく、取得したデータを加工から、変換、利用するまでをトータルで提供している。このため、測量やドローンの扱いに不慣れな人でも容易に高精度の測量データが得られるのが強みとなっている。
エアロセンスは、2015年8月に設立されたまだ若い会社。同社はドローンやVTOL(垂直離着陸機)をクラウド及びAIの技術と組み合わせ、作業現場の状況を3Dデータ化するソリューションを提供している。「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)では、同社が手掛けるドローンと、ドローンが撮影した画像を活用するためのクラウドサービスを紹介した。
今展のブースには、固定翼を持ちながらも垂直離着陸が可能な機体であるAS-VT01のほか、3機のドローンを展示した。
地上での従来型の測量に比べ、ドローンを使った工事現場や工事予定地のデータ化は非常に短時間で行えるのが特長だ。しかし、高度30〜50メートルといった上空から撮影した画像を測量のベースにするため、精度面で課題があった。エアロセンスでは、その精度を業務で求められるレベルに高めつつ、効率よく3Dモデル化するソリューションを展開している。
ブースに並べられたドローンの中でベースモデルとも呼べるのがAS-MC03。AS-MC03は、機体の隣に並べられた対空標識のエアロボマーカーと一緒に使うことを基本としている。エアロボマーカーは、ドローンで測量を行うスペースを囲むように4個配置する。測量スペースの内部にも、1個置く。ちなみにエアロボマーカーは、測量機器として国土地理院の基準点測量機器登録に登録している“お墨付き”の機器だ。
エアロボマーカーには、それぞれGPSモジュールが内蔵されている。設置して電源を入れるだけで、自らの設置位置を高精度に計測できる。測量を行う場所を上空から撮影するドローンにも、同様にGPSモジュールが搭載されており、写真1枚ごとに撮影した位置を計測することが可能だ。
ドローンがエアロボマーカーを含むように写真を撮影すると、実際にエアロボマーカーが設置されている場所の位置データとドローンが写真を撮影した場所の位置データにズレが生じる。このズレをエアロボマーカーの位置座標に合うように調整すると、写真画像のズレやゆがみが修正される。
展示ブースで説明を行っていたエアロセンス プロダクトマネジャーの真栄城 (まえひろ)朝弘氏は、「エアロボマーカーのような対空標識がない場合は、画像に写っている位置情報のタグを使って3Dモデルを作るが、その位置情報はドローンに搭載されているGPS受信機の精度に依存している」とし、その精度は携帯電話のGPSモジュールと同等の“1メートルオーダー”ほどになってしまうと話す。対してエアロボマーカーを使った測量では、土木建築の現場で求められる10センチ以内の精度での測量が実現する。
ドローン機体のAS-MC03は、現在販売しているモデル。対空標識であるエアロボマーカーと、ドローンによるデータ取得後のデータ変換や操作などに使うクラウドサービスの3つをセットにしたトータルソリューションで提供しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.