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» 2021年07月27日 07時00分 公開

林野庁のドローン活用事例、森林面積の計測・災害対応・資材運搬を効率化Japan Drone2021(2/2 ページ)

[遠藤和宏,BUILT]
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森林の補助事業をドローンで効率化

 林野庁では、災害時の対応だけでなく、森林面積の計測と資材搬送でもドローンを活用している。森林面積の測定は、森の所有者が国からの補助を受ける時や木の良好な育成で必要な間引きの結果を見える化するのに求められる業務だ。

森林補助事業のイメージ

 森林の補助はこれまで、植え付けや伐採、下刈りなどの支援を要請するために、所有者が保有する森の位置図や民有林の区域を示す施業図、現地の写真を作り、国、都道府県、市町村に提出し、補助を申請して、資料を受領した各行政機関が書類と現地の調査を行った後に受けられた。しかし、提出された資料と現地の整合性をリサーチするのに手間がかかっていたため、政府は、2020年4月に従来の規定を改訂し、森の位置図と施業図の作成や現地写真の取得、現地調査でドローンを使えるようにした。

補助の申請で必要な書類や写真
補助を受けるための新たな手順

 補助を受けるための新たな手順は、所有者がドローンで保有する森林を搭載されたカメラにより撮影し、得られた画像をオルソ化する。オルソ化した画像を基に、GISやCADソフトを利用し、位置や区域、面積を見える化したシェープファイルを作る。続いて、オルソ画像と各シェープファイルを各行政機関に提出する。各行政機関は受領したオルソ画像と各シェープファイルの内容をGISと現地でのリサーチで調べる。

 諏訪氏は、「大分県の事例では、木の植え付けに関する補助申請で、所有者が保有する森林と植え付け予定のエリアをドローンで撮影し、取得した画像をオルソ化して、シェープファイルを作り、大分県に提出した。その後、大分県は、差し出されたデータと対象となる森林の整合性をチェックするために、ドローンで現地を撮って、得られた画像をオルソ化しCADソフトなどで調べた。結果は、提出された画像と大分県が作成したデータの森林と植え付け場所の面積は、誤差がほとんどなく、ドローンの効果が分かった」と有用性を強調した。

大分県の森林補助事業でのドローンの活用事例

 間引きについて、高性能林業機械で斜面の上下に沿って列状に間伐する「列状間伐」や残す木を事前に決めて行う「定量間伐」の成果を可視化するのには、ドローンによる空中からの撮影は効果がある。しかし、一部の定量間伐では、取得した画像をオルソ化したもので樹冠下の劣勢木を確認できず、実際の伐採量が分からないという事態も起きており、技術的に課題が残る。

苗木の運搬でメーカー4社のドローンを採用

 一方、資材搬送では、苗木の運搬や木材の搬出で役立つ架線のリードロープを山林の上部に運送するのにドローンを活用している。林野庁では、輸送用のドローンとして、上道キカイ製の「いたきそ」やDrone Work System製の「EAGLE24」と「EAGLE15」、マゼックス製の「森飛(2人オペレーション型)」と「森飛(ウインチ型)」、ARRIS製の「E616」を採用した実績がある。

苗木を搬送する林業用ドローン
これまで林野庁が採用した林業用ドローン

 最後に、諏訪氏は、「山間部の森林では、バッテリーの充電が困難な他、風が強く天気が変わりやすいため、1時間程度のフライトが可能で、耐風性と耐水性の高い林業用ドローンが開発されることを期待している。また、森では、立木への接触を避ける目的で、ドローンを高度150メートル以上で飛ばさなければならないが、高度を保つのに苦労しているので、対地高度を一定で維持する林業用ドローン向けのアプリを製品化して欲しい」とメーカーへの要望を述べた。

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