「Japan Drone2021」でプロドローンは、世界初を謳う「水空合体ドローン」をはじめ、トンネル天井面検査や物資輸送や農薬散布、警備といった幅広い用途に対応した多様な機体のラインアップを披露した。水空合体ドローンは、現場まで自立飛行する親機と、水面に着水後に分離して水中を探査する子機から成り、飛行から、着水、分離、潜航、浮上、回収、帰還までを遠隔で制御できる。
日本の産業用ドローン業界をリードするスタートアップ企業のプロドローンは、ドローン国際展「Japan Drone2021|第6回−Expo for Commercial UAS Market −」(会期:2021年6月14〜16日、幕張メッセ)で、産業用ドローンとして同社が開発し、既に運用している5機体と、開発中の1機体を展示した。
展示された6機のなかで最も注目を集めていたのは、水域での調査を可能にする「水空合体ドローン」で、空中ドローン(親機)に水中ドローン(子機)を搭載した同社が世界初と位置付ける機体。
開発に携わっているのは、プロドローン、KDDI、KDDI総合研究所の3社。プロドローンが機体、KDDIが遠隔制御のブラウザアプリ「スマートドローンプラットフォーム」の提供、KDDI総合研究所が全体の統括と音響測位部分をそれぞれ担当している。KDDIのスマートドローンプラットフォームは、モバイル通信ネットワークを利用した都市部での目視外飛行(レベル4)にも対応し、他のドローンとの衝突を回避する管制システムやモバイル通信の運航監視システムを備えている。
機体は、スマートドローンプラットフォームを活用したタブレット端末で操作する。スマートドローンプラットフォームは、モバイル通信を使ってドローンを操る技術で、飛行から着水、分離、潜航、浮上、回収、帰還までの一連の動作を遠隔で制御できる。
具体的な手順としては、水面の点検場所までは空中ドローンで飛行させ、着水後は、子機の水中ドローンを分離し、遠隔操作で潜水しながら探査する。水中での子機の位置は、KDDI総合研究所独自の音響計測技術で測定し、映像はリアルタイムで確認できる。
ブース担当者は、「近年、少子高齢化などで、水産養殖や水域インフラの点検に携わる人手不足が深刻な問題となっており、水中ドローンのニーズは高まっている。しかし、これまで市場に出回っている機体は、点検場所まで船を出してドローンを運ぶ手間が生じていた。現在、開発中の機体は、増加する需要に応えつつ、課題も解決することを目的としている」と話す。2021年5月31日には技術実証を終えており、2021年度中に各用途に応じた実証を行い、2022年度の商用化を目標に据える。
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