東急建設は、これまで施工段階で施工検討や手順の共有、コンクリートの数量算出などに活用していた構造BIMモデルを基にした独自の「BIMファーストモデル」に、設備や内外装、外溝の情報も追加し、全ての現場作業所で施工BIM導入を本格化させる。
東急建設は2021年5月13日、建築工事でBIM活用を推進するため、全ての作業所で「BIMファーストモデル」を施工段階の工事着手前に作成する方針を発表した。
BIMファーストモデルは、設備設計も含めた設計図書をBIM化したデータで、着工前の施工計画検討から作業所で用いる施工計画までに進化させ、その先には日々の管理業務での利用も見込む。
東急建設では、建築工事の生産システム改革に向け、2019年1月にBIMファーストモデルの作成を開始し、施工BIMの導入を推進してきた。当初は、構造BIMモデルのみを取り扱っていたが、年々その利活用が拡大し、効果も確認できたことから、2021年度からは「外装・一部内装」「外構」「設備」の設計情報も網羅して、情報量を充実させたBIMモデルを一定規模以上の全ての建築作業所で展開する。
構造と設備を連携させたBIMファーストモデルの全現場を対象にした展開により、関係者との合意形成の迅速化やフロントローディング、適正な数量把握、建築構造部材や仕上げ部材と配管、ダクトなどといった納まりの早期チェックによる品質確保・低コスト化、専門工事会社との連携などで生産性向上につながる効果が期待されている。
東急建設では、バリューチェーン全体でBIMを活用した建築生産システム改革により、将来的に建築工事で生産性30%の向上を目指す。今後は、建物ライフサイクルの川上にあたる設計段階から全面的にBIM化を進め、BIMを建築事業のプラットフォームとすることで、プレキャスト製作の自動化や設計・施工の連携をはじめ、現場でのロボティクス、IoT活用、さらにファシリティマネジメントでの利用と、設計〜施工〜維持管理の各段階でBIM活用領域を拡大させていく。
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