屋外と屋内の高所作業で適用可能な自走式ブームリフト、バッテリー式で高い静音性第3回 建設・測量 生産性向上展

米高所作業車メーカーのTEREXは、静音性に優れ屋外と屋内の高所作業で適用できる自走式Z型屈伸ブームリフト「Z-45DC」を開発した。

» 2021年05月20日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

外と屋内の高所作業で適用できる自走式Z型屈伸ブームを開発した経緯とは?

 国内の建設会社や内装会社では、屋外で高所作業を行う際に、エンジンで稼働し、搭載されたキャタピラーで走行する自走式ブームリフトを使用するケースが多い。しかし、エンジン式の自走式ブームリフトは、駆動の際にエンジン音が生じるため、住宅地などで利用すると近隣住民から苦情が来る可能性がある。

 さらに、エンジン式の自走式ブームリフトは排気ガスの発生などを理由に、屋内で適用することが難しいため、屋外に加え施設内で高所作業が必要な場合は、電動バッテリーで動く自走式ブームリフトを現場に別途導入しなければならず、建設機械の運搬費とレンタル代などが利用者の負担となっていた。

 上記の問題を解消するため、米高所作業車メーカーのTEREXは、屋外と屋内の高所作業で適用できる自走式Z型屈伸ブームリフト「Z-45DC」を開発し、同社が設立した高所作業機器ブランド「Genie」の製品として2021年1月にリリースした。

 同社は、「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)に出展し、Z-45DCを紹介した。

自走式Z型屈伸ブーム「Z-45DC」

Z-45DCがタイヤで走行するのに悪路で転倒しない理由

 Z-45DCは、充電式の電動バッテリーで稼働するため、静音性に優れ、排気ガスが排出されず環境にも優しい。走行部は、床にタイヤ跡がつきにくいノンマーキングタイヤを標準搭載し、4輪駆動で動く作りとなっている。

自走式Z型屈伸ブーム「Z-45DC」の給電スペース

 TEREXの担当者は、「走行部にタイヤを採用した通常のブームリフトは、屋外の悪路を走ると、路面の凹凸によりタイヤが浮いてしまい転倒する危険があるが、Z-45DCは、状態の悪い道路を走行してもタイヤが地面に接しつづけるアクティブオシレーション機構を組み込んでいるため倒れることはない」と走破性について説明した。

自走式Z型屈伸ブーム「Z-45DC」のノンマーキングタイヤ

 作業台は、最大300キロまで積載可能で、スタッフ2人と工具の搭乗を想定した仕様となっている。また、ブームと作業員の接触事故を防ぐ「Lift Guard 接触アラーム」を備えている。Lift Guard 接触アラームは、オペレーターが作業台操作パネルに触れた際に、地上の作業員に警告音を発報し、ブームの動作を中断して、警告ライトを点滅することで、周囲に注意喚起を図る。これらの通知は、操作パネルに取り付けられた起動ケーブルを元の位置に戻すことでリセットする。

自走式Z型屈伸ブーム「Z-45DC」の作業台

 今後の展開についてTEREXの担当者は、「国内でブームリフトを利用するユーザーは、屋外用のブームリフトといえばキャタピラーを取り付けたものをイメージする人が多いので、タイヤを活用したものでも安全に高所作業が行えることを普及していき、採用実績を増やしていく」と語った。

 Z-45DCのサイズは、全長6.11メートルで、全幅が2.29メートル。車体の重さは6379キロ。最大作業高さ15.92メートルで、最大作業台高さは13.92メートル。最大水平リーチは6.94メートルで、最大乗り越え高さは7.5メートル。

 作業台の旋回角は160度で、垂直ジブ回転角は135度。走行速度は作業台収納時が毎時7.24キロで、作業台上昇時は毎時1.09キロ。動力源は48ボルト DC(8×6ボルトバッテリー)で、容量は390アンペアアワー。

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