VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集

工事車両の逸走事故を体験可能なVRを開発、きんでんVR

きんでんは2019年5月、配電工事に携わる作業員の危険感受性を高めることを目的に、受講者が容易に使える可搬型の「VR電力量計アーク災害体感教育ツール」を開発した。同ツールの教育効果を確認し、第2弾のコンテンツについて検討を行い、災害やヒヤリ・ハットの事例が多い高所作業車逸走災害を採り上げた。

» 2020年06月19日 09時00分 公開
[BUILT]

 きんでんとクリーク・アンド・リバー社は2020年4月、共同で「VR(仮想現実)高所作業車逸走災害体感教育ツール」を開発した。

3人のユーザーが高所作業車逸走災害を体験可能

 きんでんが開発した安全教育用のVRは、ユーザーがVRゴーグルや専用コントローラーといったハードウェアを着用し、仮想空間内で工事車両の操作ミスによって生じる逸走災害を体験できるツール。

VR高所作業車逸走災害体感教育ツールを用いた研修、研修風景(左)とVRの映像(右) 出典:きんでん

 実際の配電工事は、通例複数人で連携して作業を行うため、全員が高い安全意識を持っていないと労働災害を発生させる恐れがある。そこで、安全意識の向上と共有を図るため、今回の教育ツールは、作業指揮者、高所作業車の操作者、被災者の役割で、3人がそれぞれの視点で同時に災害を体験可能な仕様となっている。3人の受講者は、バーチャル空間内で他の受講者の動きをチェックしながらスティックの操作で模擬作業を進められる。

 VRツールを用いることで、配電工事を担うスタッフの安全意識を向上させられるとともに、安全上配慮すべき点についてのグループ討議を促し、労働災害の防止と高品質な施工の実現につながる。

 同ツールで使用されているデバイスは、VRゴーグルとコントローラーで、VRゴーグルはメモリの容量が64GBで、本体重量が571グラム。解像度が縦1440×横1600ドットの有機ELディスプレイを搭載しており、6自由度空間位置決め機能も備えている。コントローラーは、6自由度空間位置決め機能や振動機能に対応しており、位置情報検出装置も有している。

 今後、きんでんは、他の災害事例を扱ったVR教育ツールの作成を検討するとともに、今回開発したツールなどを用いた安全教育を展開する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.