鹿島建設は、ヒロセと共同で、工事用仮設桟橋の施工を効率化する「トライピア工法」を開発した。両社は、新工法の開発に当たって、実証実験と実工事での試験適用で効果を検証。実証実験では、ヒロセの資材ヤードでガイド桁のスライド試験を実施した。現場での試験適用では、正三角形に鋼管杭を仮設桟橋に打設し、専用ゴンドラを利用して斜材などの搭載を行った。両試験により、新工法全体の作業工程をチェックし、有効性を確認した。
鹿島建設は、ヒロセと共同で、工事用仮設桟橋の施工を効率化する「トライピア工法」を開発したことを2021年1月26日に発表した。トライピアのピアとは橋脚(きょうきゃく)を指す。
仮設桟橋は、主に山岳部での橋梁(きょうりょう)やトンネル、ダムを施工するための工事用道路として構築される重要な構造物だ。桟橋構築の工期短縮は、全体工期を削減する上で重要とされており、なかでも、桟橋を作る工期の5割強を占める鋼管杭の打設作業をスピーディーに完了することが鍵となっている。
また、桟橋上から急斜面に鋼管杭を打設する際には、打設位置のずれを防ぐため調整用の架台を都度斜面に設置しなければならず、架台の取り付けでは、滑落リスクと杭打設時の上下作業で危険性があった。
解決策として、鹿島建設は、ヒロセとともに、トライピア工法を開発した。トライピア工法は、仮設桟橋のピアを構成する鋼管杭が1ピア当たり4〜6本必要な通常の工法と比べて、求められる鋼管杭の本数が1ピア当たり3本と少なく、工期とコストの約20%カットを実現する。
鋼管杭の本数を減らせた要因は、仮設桟橋の桁(げた)受け構造などを工夫し、高剛性を効果的に発揮できる正三角形で鋼管杭を配置しているためだ。鋼管杭を正三角形に設置することで、必要最小限の杭本数で橋軸や橋軸直角方向の剛性を備えられ、最大16メートルの長大スパン化も可能とする。
さらに、専用のガイド桁で鋼管杭の頭部を固定することで、桟橋上から正確に打設作業が行えるようになり、斜面に対して打設位置を調整する架台の搭載が不要となることで安全性が上げられる。加えて、3本の鋼管杭を一体化させるために鋼管杭同士をつなぐ斜材と水平継材の装着には、専用ゴンドラを使用することで作業の生産性と安全性を向上する。
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