S3の段階から、意匠設計だけでなく、構造設計や設備設計も設計作業に加わる。この作業は、まずS2で完成した意匠の一般図を、構造・設備に共通データ環境を使って、データを渡し、そのデータをベースに、通り芯やレベルなどの基本情報を共有し、クラウド上の意匠モデルをリンクした状態で、設計作業を進める。一方、意匠設計では、クラウド上の構造や設備のモデルがリンクされ、必要に応じて、確認しながら作業を進める。
クラウドワークシェアリングによるライブリンクとは、このように、互いに意匠・構造・設備のモデルがリンクした状態で常に最新の設計情報を共有しながら設計作業を進めてゆく、これまでにない新しい設計手法である。実現するには、意匠・構造・設備とも、同一のBIMソフトウェア=Revitを扱う必要があり、我々がRevitに拘る理由がここにある。
例えば、下図の矩計図のように、設備の配管などを記載することも簡単に行える。当社でもまだ、矩計図に設備配管などを表示するルールにはなっていないが、このような総合図のような矩計図によって、設備と意匠・構造との干渉部分の確認がしやすくなるなどのメリットも出てくると考えている。
今回、Revitで作成したBIMモデルが下図である。
これらのBIMモデルから作成した図面の1部を下記に示す。Revitの設計作業は、通常の業務の中でやっていることを、連携事業に適用したものである。設備については、まだ実績は少ないが、既に実践活用が始まっている。
当社は、BIMによる確認申請については100件以上の実績がある。日本ERIとは、共通のルールを策定して、通常の業務の中で、共通データ環境を使った確認申請を実施している。物件そのものは仮想物件であるし、確認申請については新しい試みが無かったので、今回に限っては、とくに新規の取り組みを行っていない。
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