竹中工務店は、生産設備機器による床振動を抑止するため、鉄骨梁の間にコンクリートを充填する新工法を開発した。2020年7月に竣工した日亜化学工業のLED応用製品の生産工場に適用し、床振動対策としての有効性と生産性向上につながることが確認されている。
竹中工務店は2021年2月4日、生産性向上及び生産設備機器による床振動対策のための新工法「ツインSC梁(はり)」を開発し、徳島県鳴門市で建設を進めていた日亜化学工業鳴門N2棟のプロジェクトに初適用したことを公表した。
新開発したツインSC梁は、大断面の鉄骨梁の代わりに、2本の鉄骨梁の間にコンクリートを充填(じゅうてん)する工法。ツインSC梁の適用により、工期が短縮し、これまで振動対策として多く採用されている鉄骨鉄筋コンクリート梁と比較して、生産性を向上することにつながるという。
鳴門N2棟の施工にあたっては、設計と作業所が協業し、合理的な仮設計画となるように検討を行った。2本の鉄骨梁の間にボルトで固定するふさぎプレート設置用の仮設床(ハイステージ)は、取り付けを建方前に地上で行い、撤去は下階のスラブ打設完了後に施工したため、安全かつ高い生産性が実現した。
生産施設では、生産設備機器から発生する床振動により、周辺機器やそこで働く人々の環境に影響を与える可能性がある。そのため、振動に対しては、躯体や制振デバイスなどで対策することが必要だった。一般的な躯体で床振動を抑える方法は、剛性を高めるため、大断面の鉄骨梁を使用することや剛性・重量の大きい鉄骨鉄筋コンクリート梁とすることがあるが、生産性が低下することがこれまで課題とされていた。
今回、ツインSC梁の施工完了後には、躯体のみの状態で振動性状を確認した。その結果、タイヤによる加振時にSC梁部分の床応答加速度は、一般の鉄骨梁部分と比較して約5分の1まで低減され、振動低減とともに生産効率のアップがもたらされた。
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