安藤ハザマと日綜産業は、躯体端部などの足場が求められる部分での取り付けに適し、必要な時に足場を組み立て、作業床として使える「折り畳み式はね出し足場」を開発した。既に、ホテルの建築現場で折り畳み式はね出し足場を適用し、効果を確認している。
安藤ハザマと日綜産業は、屋上パラペット躯体や屋根軒先といった躯体端部における作業足場の安全性と生産性向上の技術として、容易に組み立て可能な「折り畳み式はね出し足場」を開発したことを2021年12月2日に発表した。
建築工事では通常、外壁や屋根の工事といった高所での作業を進めるために外部足場を設置する。しかし、外部足場を配置する前に先行する工事と外部足場を組まない施工は、一部に足場が必要な場合、不安定な作業体勢で単管パイプなどを使用した足場を組むため、安全上の問題があった。
さらに、設置した足場は、取り合い部の耐火被覆や内装間仕切り下地といった施工の妨げになり、足場の解体完了まで両工事に着手できず、作業効率を低下させていた。そこで、安藤ハザマと日綜産業は、現場の安全性と生産性を向上させるために、折り畳み式はね出し足場を開発した。
折り畳み式はね出し足場は、躯体端部などの足場が求められる部分での取り付けに適しており、必要な時に組み立て、作業床として使える。外部足場の有無に関わらず、必須な部分に限定して足場の計画も立てられる。例えば、パラペット躯体施工用の足場や屋根軒先、荷取りステージ上部などでの使用に応じている。
折り畳まれたブラケット材は、転回し、床材と手すり材を装着することで、建物における上階部分の作業足場として使える。ブラケット材は、90度転回すると自動でロックがかかり、床材の間隔に合わせて固定され、足場が不要な時はブラケット材を折り畳んでおくことで、他の作業に影響を与えない。ブラケット材の組み立てには、クランプなどの小物は不要で、従来に比べて部材数が少ないため、作成が安全で容易だ。
折り畳み式はね出し足場で構築する作業床の幅は1.0メートルで、十分な作業スペースを確保する。また、ブラケット材以外に使用する床材や手すり材などの部材は、一般的に流通している仮設材料が利用可能なため、汎用性が高く、コストを安価に抑えられる。S造の場合は鉄骨梁(はり)などに取り付け、RC造の場合はブラケット材取り付け部分のピース材を工夫することで、任意の場所に搭載できる。
安藤ハザマは、既にホテルの建築現場で折り畳み式はね出し足場を適用し、効果を確かめた。当該現場は、外部足場を組まずに工事を行っていたが、要所的に足場が必要となる屋上パラペット部分の施工用に折り畳み式はね出し足場を導入した。
具体的には、鉄骨建方時に地上でブラケット材を先行して取り付け、鉄骨建方後にブラケット材を転回し、残りの部材を組み立てた。結果、型枠工事などパラペット躯体工事の作業に速やかに着手することが可能になり、折り畳み式はね出し足場の有効性が明らかになった。
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