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» 2021年03月01日 06時03分 公開

「街の不動産会社」の脱アナログ支援、不動産開発向けSaaSを無償提供不動産テック

オープンハウス・アーキテクトは、「街の不動産会社」の脱アナログを目指し、不動産開発事業の業務負担をデジタル化で軽減することを目的としたクラウド型のウェブサービス(SaaS)の提供を開始した。同社の主要顧客で、首都圏の年間建売住宅の約5割を占める小規模な街の不動産会社を対象に無料で提供していく。

[BUILT]

 オープンハウスグループで住宅設計・建築事業を展開するオープンハウス・アーキテクトは2021年2月17日、木造建て売り住宅やアパートの不動産開発事業者向けのウェブサービス「Architect Dash(アーキテクト・ダッシュ)」を開発したことを明らかにした。

中小不動産会社の業務をDXで最適化

 コロナ禍の影響により、2020年は不動産業界でもDXが急速に進んだが、その多くはエンドユーザー(入居者)向けのサービスが中心となっている。その裏にある「不動産開発」のプロセス改革は遅れており、電話やFAX、郵便などのアナログなコミュニケーションがいまだに標準で使われている。

 しかし、開発段階で無駄が発生すると、そのコストは最終的にエンドユーザーの負担となってしまう。建売建築の投資が膨らめば膨らむほど、必然的に戸建住宅の販売価格に跳ね返り、売値が高く設定される。加えて、中小不動産会社にとっては、事業回転率が低いことが年間供給棟数を伸ばすハードルになっている。

 Architect Dashの開発経緯について、オープンハウス・アーキテクト 営業部 部長 橋本早氏は、「IT化がそれほど進んでいない業界なので、まずは日頃の業務を効率化することに着目した。ここ数年で、当グループでは営業や監督など各部署間の社内DXで大きな成果を出してきた。だが、取引の中で、本当の効率化・ペーパーレス化などをしていくためには、まずは取引先のデジタル課題を解決する必要があると気付いた」と話す。

「Architect Dash」のイメージ 提供:オープンハウス・アーキテクト

 オープンハウス・アーキテクトの取引先は、首都圏における年間の建売住宅で約5割を占める数人から数十人規模の街の不動産会社が大半。その企業規模では、技術改革に必要なリソースを社内で抱えることが極めて難しいため、不動産業務がWebだけで完結するArchitect Dashを無償提供するに至ったという。

 橋本氏は、「初回のリリースでは、ペーパーレス化、コンプラ強化、予定管理の機能を用意している。他にも、取引先だけでなく、入居者の満足度向上につながる機能もそろえている。取引先が本システムを活用して、事業回転率や顧客満足度の向上を図ることができれば、ビジネスも成長するため、当社への継続建築受注の可能性も広がっていく。最終的には、入居者、取引先、当社の“三方良し”につながるはず」と期待を込める。

 具体的な機能としては、見積もりでは、やりとりに時間がかかる建築依頼も、カンタンなオンライン依頼でスピーディーに完了。相談から最短1日で見積もりと参考プランの作成が可能になる。

 施工の進捗管理では、管理画面や通知機能から工程を一目で把握し、現場で撮影した写真も確認できるため、現地に赴かなくてもリアルタイムで現場の状況が分かる。販売活動の案内も、工程カレンダーを見ながら調整すれば、その都度、電話やメールをする必要が無く、スケジューリングがスムーズに行える。

「Architect Dash」のインタフェース。プロジェクト進捗(画像上)と工程カレンダー(画像下)の管理画面 提供:オープンハウス・アーキテクト

 また、コロナ禍のテレワークが浸透している現在、リモートでの物件管理へのニーズにも応えている。これまでは、FAXや郵便、訪問といったアナログな手法が一般的だったが、Architect Dashであればいつでもどこからでも、書類、請求書、現場進捗写真などにアクセス。チャット機能では、細かな確認や共有などの連絡が必要な時にいつでもスムーズに行える。

 建物が売却された後も、Architect Dashは不動産会社の業務効率化をサポートする。不動産会社は通常、物件販売後も入居後の追加工事や修理などを希望する住宅購入者の問い合わせに時間を割かれることが多い。しかし、Architect Dashでは、販売情報を入力すると、オープンハウス・アーキテクトのオンライン入居者用ポータルサイト「オーナーズクラブ」に連携されるため、入居者が不動産会社を挟まずに、直接アフターサービスを依頼することができるようになる。

「Architect Dash」とオープンハウス・アーキテクトのリソース活用で中小の不動産会社でもDXが実現する 提供:オープンハウス・アーキテクト

 オープンハウス・アーキテクトでは、国土交通省の調査を引用し、「建設業界では24.8%の建築労働者(大工、鳶工、電工など)が人手不足を感じている」ことを指摘し、多くの工務店や建設企業で内製施工のハードルが上がり、年間の供給棟数が減少すると予想している。

 そこで、グループ内だけに限らず、街の不動産会社から競合大手不動産会社まで、外部からの受注にも対応して、蓄積してきた建築リソースを他社でも活用できるような仕組みづくりを進めている。そのためのプラットフォームが、今回のArchitect Dashだと位置付けている。オープンハウスの施工技術とITを採り入れることで、取引先も年間の供給棟数(事業回転率)を最大化しつつ、大手ハウスメーカーの内製に負けない短工期・低価格・高品質な家づくりが実現するとしている。

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