ハイブリッド耐火集成材や唐松湾曲構造用集成材の活用事例、齋藤木材工業住宅ビジネスフェア2020(2/2 ページ)

» 2020年12月25日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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短納期で424本の唐松湾曲構造用集成材を製造

 2005年には、石川県金沢市のエムビル・美術デザイン研究所ルネッサンスの建設で、同社が開発したハイブリッド耐火集成材「梁(はり)ハイブリッド耐火集成材」と「柱ハイブリッド耐火集成材」を導入した。

 「梁ハイブリッド耐火集成材は、耐火集成材の内部に平鋼を取り付けており、鋼材に熱が伝わりにくい構造で、柱ハイブリッド耐火集成材は角鋼を耐火集成材で包むように設置し、耐火性能を高めている」(齋藤氏)。

「梁(はり)ハイブリッド耐火集成材」と「柱ハイブリッド耐火集成材」を用いたエムビル・美術デザイン研究所ルネッサンス

 2012年には、埼玉県のポラテック 本社ビル ウッドスクエアにおける建設で、同社が開発した「H鋼内蔵型のハイブリッド耐火集成材」が材積で530立方メートル採用された。2014年には、同社が耐火集成材の製造技術を提供し、竹中工務店が開発した耐火集成材「燃エンウッド」が、横浜市の4階建て商業施設の建設で初導入された。

「H鋼内蔵型のハイブリッド耐火集成材」を導入したポラテック 本社ビル ウッドスクエアの内観

 燃エンウッドは、木材による「荷重支持部」、石こう系SL材と木で構成された「燃え止まり層」、木材を用いた「燃え代層(しろそう)」の3層で構成される耐火構造の木造集成材で、柱や梁といった構造部材として使え、2時間の耐火性能を備えている。

 2016年に、齋藤木材工業は、東京都江東区のスポーツ施設「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」における建設で、建物の内装材に使用する波型の「唐松湾曲構造用集成材」を424本導入した。

スポーツ施設「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」の概要

 齋藤氏は、「当社は、短納期で424本の唐松湾曲構造用集成材を製造するために同集成材の量産化技術を開発した。通常、湾曲構造用集成材は、レゾール型フェノール樹脂を接着剤として使用し、アール材を型枠にはめて作成するが、1日あたり1〜2本しか湾曲構造用集成材を作成できなかった。当社が開発した量産化技術は、サイズや仕様が均一の湾曲構造用集成材を1日あたり8本製造できる」と語った。

 最後に、齋藤氏は、非住宅の木造化・木質化における課題について、「現状、耐火集成材は、規格が存在せず、全て特注品として製造しているため、価格が高くなっている。また、大きな需要が無く大規模な投資を行えない他、耐火集成材の価格を抑える目的で、原材料の丸太を高く購入できず、安定的に確保することが難しい。今後、非住宅の木造化・木質化を推進するためには、原材料の調達から施設への導入まで一貫した取り組みを業界全体で進める必要がある」とコメントした。

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