戸田建設は、地下工事の生産性向上を目指した新型土留め構造「コンビウォール工法」を開発した。掘削深度7メートル程度を切梁なしで対応でき、2割以上のコスト低減にもつながる。2021年度の実用化を目指す。
戸田建設は、地下工事の生産性向上を目指した新型土留め構造「コンビウォール工法」を開発し、実証実験により有効性を確認した。掘削(くっさく)深度7メートル程度を切梁なしで対応できるため、大幅な生産性の向上や、2割以上のコスト低減にもつながるという。2021年度の実用化を目指す。
土留め壁工法には、切梁(きりばり)などによる「支保工式土留め壁」と、支保工がない「自立式土留め壁」がある。自立式は本体構築時の施工性に優れているが、土質条件や背面地盤荷重の影響を受けやすく、掘削深度3〜4メートル程度にとどまる。そこで同社は課題解決に向け、掘削深度が大きくなっても構造的に耐えられ、かつ自立式の優位性を保つ、新型土留め構造「コンビウォール工法」を考案した。
コンビウォール工法とは、掘削の進行に伴い、背面地盤に抑止部材となる鋼材を水平に挿入して、親杭と剛結させる構造だ。
抑止部材に作用する土荷重により、親杭に背面土圧と逆方向の曲げモーメントが作用するため、自立式土留め壁と比較し、親杭の曲げ応力および変位が低減され、掘削深度の増大が可能となる。
同社では、抑止部材挿入による変位抑制効果の確認のため、コンビウォール工法と自立式土留め壁の比較を掘削深度2メートルで行った。自立式と比較したところ、親杭変位で96%減、親杭背面ひずみで31%減に及ぶ効果があったという。
また、垂直な地盤面に水平方向に抑止部材を挿入するための新工法として、油圧ショベル用ブレーカーにH鋼用チャックを装填し打撃挿入を行う方法と、親杭と抑止部材との接合方法を考案。施工試験を行い、その有効性および安全性を実証した。
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