“南海トラフ地震”に備え免震建物2方向の揺れを計測、横浜市庁舎に導入免震(2/2 ページ)

» 2020年09月02日 06時00分 公開
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従来方法の設置スペースやコスト面の問題を解消

 従来、地震時に免震建物の大きな変位の記録を残すためには、ケガキ板にけがかれた軌跡を視認する「ケガキ計」が多く使用されることが多かった。目視確認やケガキ板の交換のためには、技術者が免震層内の設置場所へ入る必要があり、地震直後は建物の安全確認や余震の可能性から危険性があり、地震発生から数日待たなければならなかった。

 また、変位をデータとして計測可能な計測機として、水平型変位計があるが、1台で1方向を計測するもので、水平2方向に動く免震建物の変位を計測するには最低2台導入する必要があった。設置には、ガイド材などの付属装置も取り付けるため、設置スペースを確保しなければならなかった。

従来の計測方法。ケガキ計(左)と設置スペースが必要な水平型変位計(右) 出典:竹中工務店

 竹中工務店では、免震建物の優れた耐震性能を維持するためには、建物の免震層内に配置された免震部材の維持管理が不可欠と捉えている。さらに、昨今懸念されている南海トラフ地震などが発生した場合、免震部材は水平2方向へ±500ミリを超え、大きく動く可能性があるため、維持管理の点から免震部材の変位を継続的にモニタリングすることも求められるともしている。

 防災拠点となる病院や庁舎などでは、地震直後に建物の安全性を迅速に確認して次の地震に対して、早急に備えることが必要なため、リアルタイムで免震部材や免震建物の変位を把握したいというニーズが高まっている。

 免震建物の変位のモニタリングを行うためには、計測レンジの長い変位計が必要となるが、免震建物に設置できる従来の計測レンジの長い水平型変位計には、広い設置スペース、ノイズの発生、高コストなどの問題があり、免震建物の変位のモニタリングはほとんど行われていなかった。そこで、独自の計測機構を考案し、多くの免震建物への普及を目指した直立型変位計を開発したという。

 今後、竹中工務店は、病院や庁舎など地震後に機能維持の必要性が高い免震建物を中心に提案していく。

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