ハローワークにおける新規求人数の前年同月比増減率を職種別にみると、建設・採掘の職業(建設技能工)の6月の前年同月比は4.9%増となり、全職種の中で一職種だけ前年を上回る形となった。建築・土木・測量技術者(建設技術者)は同▲3.9%減となり、他の職種よりも際立って減少率が低い。
逆に人材需要が大幅に低下しているのは、生産工程の仕事(同▲44.7%)、販売の職業(同▲29.7%)、サービスの職業(同▲25.8%)となっている。
データから見て、新型コロナウイルス感染症拡大により、雇用環境が大きな打撃を受けたのは宿泊、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、製造業などであり、建設業における影響は比較的軽微であったと考えられる。
その背景には、日銀短観の結果からもいえるように、新型コロナウイルス感染症の拡大が建設業の業況にあまりマイナスの影響を与えなかったことや建設技術者、建設技能工は高齢化が進み、構造的に慢性的人手不足の状況になっていることがある。
今後については、新型コロナウイルス感染症の拡大状況に大きく左右されるが、建設総合統計では、2020年6月の手持ち工事高が30兆7732億円(前年同月比2.5%増)と高水準にあることや令和2年7月豪雨からの復興需要に対応しなければならないこと、国土強靭化計画の推進は避けては通れない最重要課題であることを踏まえると、建設業における人材需要は今後も堅調に推移するのではないかと予測することができる。
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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