新型コロナウイルス感染症が建設業の雇用環境に与えた影響を検証、ヒューマン総研建設業の人材動向レポート(24)(1/2 ページ)

本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大が建設業の雇用環境に与えた影響について、各種統計データを基に分析した結果をまとめている。

» 2020年09月01日 10時00分 公開

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本経済に大きな打撃を与え、雇用環境も急速に悪化しつつある。今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大が、建設業の雇用環境に与えた影響について、各種の統計データより分析した。

■建設業の業況は下降気味ながらプラス15ポイント、影響は小さい

 日本銀行が四半期ごとに実施している「全国企業短期経済観測調査(短観)」の2020年6月分調査に基づく、企業の景況感を示す業況判断指数を産業分野別にみると、「製造業」は3月調査から26ポイント低下して、マイナス34ポイントとなっている(図表1)。新型コロナウイルス感染症拡大の打撃が最も深刻だった「宿泊・飲食サービス業」は、3月調査よりも32ポイント低下して、マイナス91ポイントと過去最低にまで落ち込んだ。

 一方、「建設業」は、3月調査から21ポイントの低下にはなっているが、プラス15ポイントと依然としてプラスを維持しており、「情報サービス業」のプラス20ポイントに次いで好調な業況となっている。

※ 業況判断指数:「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたものであり、マイナス幅が大きいほど業況が悪いと判断される

【図表1 日銀短観の産業分野別の比較】 出典:日本銀行「企業短期経済観測調査」よりヒューマンタッチ総研が作成

■建設業の新規求人数のみが前年同月を上回る

 ハローワークにおける新規求人数の前年同月比増減率を産業分野別にみると、建設業の落ち込みは全産業分野の中で最も小さく、6月の新規求人は前年同月比で2.6%増と、全産業分野の中で唯一の増加となっている(図表2)。建設業における人材需要は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも比較的堅調であることが分かる。

 一方、生活関連サービス業/娯楽業(6月の前年同月比▲34.8%)、製造業(同▲34.2%)、宿泊業/飲食サービス業(同▲29.4%)は、人材需要の落ち込み幅が大きくなっている。

【図表2 産業分野別の新規求人数の前年同月比増減率の推移】 出典:出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」よりヒューマンタッチ総研が作成
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