海外事業を評価され、大林組やIHIインフラシステム、安藤ハザマがJapaCon国際賞を受賞産業動向(1/3 ページ)

国土交通省は、海外で建設プロジェクトや技術提供などで活躍する国内の建設会社と中堅・中小建設関連会社を評価し、海外展開を後押ししている。

» 2020年04月30日 09時00分 公開
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 国土交通省の「第3回 JAPAN コンストラクション国際賞」で、日本のゼネコンが実施した海外建設プロジェクト3件と、海外において先導的に活躍している中堅・中小建設関連会社2社が受賞した。

 2017年度にスタートしたJAPAN コンストラクション国際賞は、「質の高いインフラ」を象徴し、日本の強みを生かした海外建設プロジェクトと海外で先導的に活躍する中堅・中小建設関連企業に対して「JAPANコンストラクション国際賞(通称:JapaCon国際賞)」(国土交通大臣表彰)を授与する。

ニュージーランド初となる大断面シールド・トンネル工事

 今回、建設プロジェクト部門では、応募総数12件のうち、大林組がニュージーランドで取り組んだ「ウォータビュー高速道路プロジェクト」やIHIインフラシステムがトルコで手掛けた「オスマン・ガーズィ橋(イズミット湾横断橋)プロジェクト」、安藤ハザマと日本工営がネパールで行った「シンズリ道路(第3工区第2期建設工事・第2工区斜面対策工事)」が国土交通大臣表彰に決定した。

左から、ウォータビュー高速道路プロジェクト、オスマン・ガーズィ橋(イズミット湾横断橋)プロジェクト、シンズリ道路(第3工区第2期建設工事・第2工区斜面対策工事) 出典:国土交通省

 ウォータビュー高速道路プロジェクトは、工期が2011年11月から2017年6月まで、発注者はニュージーランド交通局。設計はParsons Brinckerhoff(現WSP)やBECA、Tonkin & Taylorが担当し、施工は大林組やFletcher Construction、McConnell Dowellが担った。

 同プロジェクトは、ニュージーランドの中心都市オークランドで未完となっていた高速道路区間を延長2.4キロルのシールドトンネル2本で接続する同国最大規模の交通インフラ計画。日本からの技術移転で、ニュージーランド初の大断面シールド・トンネル(掘削径14.5メートル)を採用し、コスト低減と第三者交通への影響回避を実現した。

 ニュージーランドで一般的な発注者や設計者、施工者がアライアンスを形成してプロジェクトを遂行するアライアンス契約に基づき、大林組が全オペレーションの重要決定事項を検討し、決裁やシールドトンネルの設計、施工計画、施工管理、リスク管理に参画した。完成した高速道路区間は、1日6万台以上の車が利用し、市内の交通渋滞緩和と空港アクセスの向上に貢献している。

 大林組は、設計施工に加え、供用後10年にわたる維持管理業務の金額も含めたライフサイクルコストも評価される入札方式で、落札した。また、落札者がオプションとしてそのまま維持管理を受託できる契約で、維持管理にも参画しており、日本の質の高いインフラを体現するとともに、日本が出遅れている官民連携事業で実績を積み上げた。

 さらに、当初は山岳トンネル工法で設計されていたが、大林組の提案でシールド・トンネル工法を採用し、重量2500トンのシールドマシンは、1本目掘削完了時に解体・再組み立てせず、そのままUターンさせて2本目を掘進することで、工期短縮やコストカットを果たした。原住民遺構の保存や原住民が有する芸術要素を坑口デザインに取り入れたこと、歩道橋デザインで住民の声を集めたことなどは、発注者から表彰されている。

ウォータビュー高速道路プロジェクト 出典:国土交通省
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