大林組は、全社でのデジタル化推進の一環として、2020年度中にNECの入退場管理サービス「建設現場顔認証forグリーンサイト」を国内の全建設現場に導入していく方針を打ち出した。
大林組は2020年6月15日、作業員の就業履歴を正確に管理する入退場管理サービス「建設現場顔認証forグリーンサイト」を全国の現場で導入していくことを明らかにした。
建設業では昨今、技能労働者の高齢化や新規入職者の減少で、労働力不足が深刻な問題となっている。そこで国土交通省は、建設業界の環境整備を目的に、官民一体で技能労働者の資格や社会保険の加入状況、建設現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する「建設キャリアアップシステム」の運用を2019年4月から開始した。
また、同省では、勤労者退職金共済機構の「建設業退職金共済制度(建退共)」における建設キャリアアップシステム活用を官民一体で進めることに伴い、2021年度には建退共の電子申請を本格運用すべく、まずは公共工事での活用を徹底し、2023年度には民間工事にも対象を広げるとしている※1。実現すれば、建設キャリアアップシステムに蓄積した就業履歴データが、作業員の退職金計算に活用されることになるため、作業員の就業履歴を建設キャリアアップシステムへ正確に登録する必要性が一層高まり、普及促進が加速すると期待されている。
※1 国土交通省「建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ」
大林組が今回導入するNECの建設現場顔認証forグリーンサイトは、作業員の現場入退場時に、タブレットやスマートフォンなどの端末を使って、顔認証(生体認証)による本人確認を行うとともに、GPS位置情報を取得することで、「誰が」「いつ」「どこで」入退場を記録したかを正確に記録する。
入退場情報は、MCデータプラスが提供する安全書類管理サービス「グリーンサイト」の通門管理システムと連携しており、グリーンサイト経由で建設キャリアアップシステムの就業履歴に自動登録される。
大林組では、顔認証により取得した入退場情報を2020年度下期から、大林組認定基幹職長(通称:スーパー職長)、大林組認定の優良クレーンオペレーター(通称:スーパーオペレーター)の手当支給のために必要となる従事日数報告書にもリンクさせ、今後は、建退共証紙の請求処理業務などにも活用を広げる。
建退共証紙は、大林組では公共工事のみならず民間工事でも大林組の負担で幅広く交付しているため、顔認証により取得した入退場情報を用いて請求処理業務を行うことで、協力会社の業務効率化にもつなげていく。
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