戸田建設は、水平自動搬送システムに工事用エレベーター(EV)を連動させた垂直・水平自動搬送システムを開発した。これまで運用してきた水平搬送AGV(Automated Guided Vehicle)「T-CART(ティーカート)1000」による建築資機材の同一階への自動搬送に加え、上下階の揚重も自動化することで、建設現場での搬送作業の省力化が見込める。
戸田建設は2020年6月17日、ビルなどの建築現場で、資材を自動運搬するロボットとエレベーターを連動させることにより、複数階での垂直移動を可能にする新技術を実用化したと発表した。
垂直・水平搬送システムは、T-CART1000と工事用EVを連動させるて、現場に搬入された建築資機材を、積込み階の仮置き場から、搬送階のストックヤード(搬送先)までの搬送を自動化する。
搬送ロボットのT-CART1000は、積込み階と搬送階に配置しておくことで、それぞれが工事用EVの昇降動作と連動するため、EVの待機時間が短縮され、搬送作業の効率化につながる。搬送作業は、夜間など他の作業が止まっている時間帯を利用することで、作業所全体の工期短縮と安全性にも貢献する。
自動化の手順は、最初に作業員が積込み階の仮置き場に置かれている建築資機材の情報(サイズ、搬送階、搬送先など)をRFIDタグから読み取っておく。積込み階のT-CART1000は、仮置き場に置かれた建築資機材を工事用EVに積載。建築資機材を載せた工事用EVは、搬送階まで移動し、到着階のT-CART1000が工事用EV内の建築資機材をストックヤードまで搬送する。建築資機材が運び出されると、工事用EVは積込み階に戻り、この作業を繰り返すのが一連の流れ。
一般的に建築資機材の搬入は、搬入車両からの荷下ろしをはじめ、工事用EVによる目的フロアへの揚重や目的フロア到着後の所定位置への移動などの全工程を人の手作業で行っている。しかし、運搬作業は重労働で、作業員の減少や高齢化が進む中、多くの人手を必要とするため、省力化は急務となっていた。
戸田建設では今後、自動揚重システムを全国の建設現場に展開し、システムをより使いやすいものに改良した上で、社外への供給も視野に入れている。
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