データ変換の高速化は、両社が行ったテストによると、平均3分ほどで、3DCADやBIMモデルをmixpaceアプリで表示できる形式に変換したという。
この他、アイコンで一目で分かるようになるなど、ユーザーインタフェースの刷新やWebアプリからデータ変換した3Dモデルの単体ダウンロード機能も追加された(GLB形式、USDZ形式、USDZ形式はβ版)。
SB C&Sは、HoloLens 2が2020年5月12日に最新OS「Windows Holographic, version 2004」へとバージョンアップし、USB-Cの有線テザリングで5Gスマートフォンに接続できるようになったことを受け※1、屋外で大容量データのAR化を試した。
※1:Holographic, version 2004のリリースノート「USB 5G/LTE のサポート/拡張 USB Ethernet 機能により、5G/LTE のサポートが可能に」
実験は、3Dデータのマテリアルやテクスチャの計算や出力をローカル(エッジデバイス)ではなく、クラウド環境で行った。Revit User Group(RUG)のサンプルBIMモデルに、ホロラボ作成の意匠・構造のサンプルデータを合成。サイズにして108MB、530万ポリゴンの3DモデルをmixpaceでGLB形式に約2分弱で変えた。次に、5GスマホとHoloLens 2をUSB有線テザリングでつなぐと、下りで650Mbpsもの速度が出たという。
生成したARモデルは、5G経由でデバイスにリアルタイムでストリーム配信する「Azure Remote Rendering」を介して、現実空間に3D建築モデルを投影し、滑らかに操作することに成功した※2。
※2:SB C&S技術ブログ「進化をつづけるHololens2 ー5G×クラウドレンダリングで大活躍!ー」
SB C&Sの担当者は、HoloLens 2×5Gの可能性について、「HoloLens 2のローカルスペックだけで対応できるデータサイズ以上の大容量データ、例えば意匠と構造、設備のデータが統合されているようなビル1棟まるまるのBIMモデルを、通信環境が良いと言えない屋外環境でも見たいというニーズに応えられるようになる。さらにクラウドで高負荷な処理をし、5Gの高速回線を使ってストリーミングすることで、HoloLens2で大容量データを見たり、遅延なく動かせるメリットもある。今まで不可能だったことが、5Gによって可能になることが期待される」と話す。
建設業界でも、BIM化とデジタル化は進められていることから、「HoloLens採用事例のニュースが昨今増えてきており、BIMモデルをHoloLensなどのAR/MRデバイスで活用する試みは普及してきている。直近では、mixpace開発元のホロラボが技術支援をした鹿島建設での活用事例などが挙げられる。mixpaceは、BIMデータを数分でクイックにAR/MR向けに変換し、ARマーカーを使った表示位置の指定ができるため、建築・設計・設備の各社で採用が広がっている。とはいえ、まだ活用方法は手探り状態にあるので、使い方の動画やデモ、導入コンサルを通じてmixpaceを積極的に啓蒙していきたい」と展望を語った。
mixpaceのアップデート予定としては、現時点ではユーザーの声を集めている途中で、具体的なスケジュールは未定としながらも、ARマーカー機能を含め、デバイスの進化や要望に合わせて、随時、機能を強化していく方針を示している。
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