5Gを活用したビジネスを複数の企業で共創することを目的にしたコミュニティー「5G Co-Creation Working」の建設ワーキンググループは、開発を進めるフルハーネス型墜落制止用器具の使用状況を可視化するシステムの事業化を進めている。
NECは2020年6月11日、オンラインで「5G Co-Creation Working Season3説明会」を開催した。板垣氏は、5G Co-Creation Workingは、5Gを活用したビジネスを複数の企業で共創することを目的にしたコミュニティーで、「建設」「安心・安全」「交通」「流通」といった4つのワーキンググループ(WG)で構成されている。
当日のセッションのうち、建設WGに所属するCIJネクスト 板垣真之氏が行った講演「建設Working Group 安全帯使用状態検知プロジェクト〜Season3説明会〜」を採り上げる。板垣氏は、Season1(2018年5〜11月)とSeason2(2019年9月〜2020年5月)での取り組みやSeason3(2020年6月〜2021年3月)で実施予定の施策を紹介した。
建設WGは、アバナードやCIJネクスト、錢高組、ケンブリッジコンサルタンツ、プロフェッショナル・ネットワークス、Solace、ユビテック、NEC通信システムで構成される。
建設WGはSeason1で、建設現場で発生する死亡事故のうち、高所からの転落・墜落事故が大半を占めていることに着目し、作業員の落下事故を防ぐシステムの開発を検討した。「現場での死亡事故の原因を調べていく中で、フルハーネス型墜落制止用器具を着用せずに墜落する事故が多いことが判明した。調査結果に基づき、フルハーネス型墜落制止用器具(以下、フルハーネス)の使用状況や作業員の現在地をモニタリングし、市販のフルハーネスやヘルメットへ後付け可能なシステム開発に乗り出した」(板垣氏)。
Season1で仕様が決まった新システムは、フルハーネスに付属するフックの使用状態を検知し、フックが利用されていない場合、ヘルメットに設置されたビーコンを振動させ、作業員にフルハーネスの装着を促す。
Season2では、Season1で決定したシステムの実証実験を行い、フルハーネスの使用状況や作業員がいる場所のモニタリング性能についての効果を確認した。また、市販のフルハーネスやヘルメットに後付け可能なことも証明されたが、装着性に課題が残ったため、Season3で改善する。さらに、ユーザーにヒアリングしたデータを基礎にして、ターゲットとなる顧客の策定や提供価値を検討するとともに、バリューチェーンを利用したマネタイズモデルの初期構築を進めている。
Season3では、事業計画の策定を目指し、システムとビジネスモデルのブラッシュアップを推進する。板垣氏は、「システムについては、現場での適応性を検証する。具体的には、Season2で開発したフックの使用検知機能やヘルメットを振動させるビーコンなどを改良していく。加えて、市場に存在している競合品や類似品を調べ、サービス内容やビジネスモデル、マネタイズモデルは、市場の動向や顧客の要望を考慮して見直す」と展望を示した。
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