5Gを活用したビジネスの創出を目標に掲げる5G Co-Creation Workingの安心・安全ワーキンググループは、施設の防犯や新型コロナウイルス対策としても役立つ建物管理システム「スマートビルディング」の事業化を推進している。
NECは2020年5月11日、Webセミナー「5G Co-Creation Working カンファレンス Spring 2020」を開催した。5G Co-Creation Workingは、5Gを活用したビジネスを複数の企業で共創することを目的にしたコミュニティーで、「建設」「安心・安全」「交通」「流通」といった4つのワーキンググループ(WG)で構成されている。
当日実施されたセッションのうち、安心・安全WGに所属するケンブリッジコンサルタンツ 鈴木健一氏が行った講演「”つながり“で実現する安心安全な世界へのアプローチ」をレポートする。2019年9月から2020年5月までの期間(Season2)で、作成した製品コンセプト「スマートビルディング(仮称)」「スマートベンディングマシン(仮称)」などを紹介した。
安心・安全WGは、ケンブリッジコンサルタンツやトレンドマイクロ、JBサービス、APRESIA Systems、河村電気産業、アナログ・デバイセズ、東電タウンプランニング、NEC通信システムで構成されており、2020年度をめどに、立案した製品コンセプトを事業化することを目標に掲げる。
発足当初は、災害対策をテーマに、デジタルサイネージや電源を搭載した「BCP対応独立電源付きバス停」や情報発信機能を備えた「ネットワーク化された信号機を活用した仮想交番」といった製品コンセプトの事業化を進めていたが、交通機関や警察、自治体へのヒアリングで、製品化が難しいことが明らかになり、スマートビルディングとスマートベンディングマシンの開発に舵を切った。
鈴木氏は、「交通機関からは、“将来的にバス停は必要になった時だけ使用する形で運用し、常設しなくなる可能性が高い”という意見が多かったため、BCP対応独立電源付きバス停の開発を見送った。信号機を活用した仮想交番は、警察や自治体への提案や交渉に多大な時間がかかると判明し、長期的な開発に切り替えた。さまざまな会社のニーズを調べ、スマートビルディングとスマートベンディングマシンに至った」と説明した。
スマートビルディングとスマートベンディングマシンは、共通の汎用プラットフォームを用いることを構想している。機能を追加しやすいモジュラー設計の汎用プラットフォームは、カメラやマシンビジョンシステム、多様なセンサー、電源、5G通信機能、位置捕捉機能で構成され、さまざまな使用方法に応じる。既存の設備に後付け可能で、搭載したカメラにより、リアルタイムの監視や撮影した画像のAIを解析が行え、記録した映像はクラウドで保存する。
利用するセンサーは、防水・防塵(ぼうじん)仕様で、ユーザーの需要に合わせた情報を集める。また、カメラやセンサーの内蔵電池は災害時でも、3日間動作し、カメラは内部ストレージにより断線時の映像も残せる。用途は異常検知や指定したエリアの監視、来場者の分析などを見込む。
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