5Gを活用したビジネスの創出を目標に掲げる5G Co-Creation Workingの建設ワーキンググループは、建設現場での墜落・転落事故ゼロを目標に掲げる製品「リアルタイム安全帯使用状態検知システム」の開発を進めている。
NECは2020年5月11日、Webセミナー「5G Co-Creation Working カンファレンス Spring 2020」を開催した。5G Co-Creation Workingは、5Gを活用したビジネスを複数の企業で共創することを目的にしたコミュニティーで、「建設」「安心・安全」「交通」「流通」といった4つのワーキンググループ(WG)で構成されている。
当日実施されたセッションのうち、建設WGに所属するCIJネクスト 板垣真之氏が行った講演「建設現場の事故を防げ!〜効率的なリアルタイム安全帯使用状態検知〜」を取り上げる。講演では、2019年9月から2020年5月までの期間(Season2)における「リアルタイム安全帯使用状態検知システム」の開発状況を紹介した。建設WGは、アバナードやCIJネクスト、錢高組、ケンブリッジコンサルタンツ、プロフェッショナル・ネットワークス、Solace、ユビテック、NEC通信システムで構成される。
厚生労働省の資料によれば、2018年は建設業の死傷災害で、墜落・転落事故が最も多く、全体の34%を占めた。「建設業で例年5000人以上の作業員が墜落・転落事故で死亡している。国土交通省が2016年に発表したデータによると、墜落・転落事故の20%以上が足場からの落下が原因で、全体のうち90%以上がフルハーネス型墜落制止用器具(旧名称:安全帯)の利用状況が関係している」(板垣氏)。
続けて、「一方、国土交通省では、2016年からICTで建設システム全体の生産性向上を狙った取り組み“i-Construction”をスタートし、ICTの導入が建設業で進んでいる。業界でICTが浸透していることを受け、開発を始めたのがリアルタイム安全帯使用状態検知システムだ」と振り返った。
リアルタイム安全帯使用状態検知システムは、フルハーネス型墜落制止用器具のフックに付ける「フックビーコン」や作業者が被るヘルメットに取り付ける「振動ビーコン」、現場に設置する「サインビーコン」、モニタリングシステムなどから成る。
フックビーコンはフルハーネス型墜落制止用器具に搭載されたフックの利用状況を検知し、使われていない場合に、ヘルメットの振動ビーコンを震わして作業者に注意喚起する。サインビーコンは、振動ビーコンと連動し、作業者の位置情報を収集して、振動ビーコンがサインビーコンから一定距離以上に離れた場合、振動ビーコンを振動させる。
フックビーコンやサインビーコンで取得した情報は、スマートフォンを経由し、モニタリングシステムに送信して、フルハーネス型墜落制止用器具の利用状態を調べられる。
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