戸田建設と西松建設は、製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末をセメントの代替材料とした低炭素型のコンクリート「スラグリート」を開発した。このほど、日本建築総合試験所で建材としての技術性能が証明されたことで、両社は二酸化炭素の主たる排出源となっているセメント使用量を低減できるメリットを生かし、建設分野での適用をさらに進めていく。
戸田建設と西松建設は、共同で開発した高炉スラグ微粉末でセメント質量の70%を置き換えた低炭素型コンクリート「スラグリート」が、日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明を取得した。
スラグリートは、コンクリートの配(調)合に含まれるセメントのうち、質量比の70%を副産物の高炉スラグ微粉末に置き換えることで、普通ポルトランドセメントのみを用いた配合のコンクリートと比べ、マスコンクリートの温度ひび割れ低減やCO2排出量の削減が見込まれる。
コンクリートを製造する際のCO2排出量は、コンクリートを構成する材料のうち、セメントの使用量に起因するCO2排出量が大半を占めている。このため、高炉スラグ微粉末をセメントの代替材料として使用しているスラグリートは、製造時のCO2排出量が少なく、普通ポルトランドセメントを用いた同一強度の配合との比較で、CO2排出量の約65%削減が見込める。
スラグリートのコンクリート温度上昇量「断熱温度上昇量」は、同一水結合材比の配合と比較して、普通ポルトランドセメントや混合セメントである高炉セメントB種を用いた配合より小さく、中庸熱ポルトランドセメントを用いた配(調)合と同等以下。
このため、スラグリートを使用したマスコンクリートは、普通ポルトランドセメントや高炉セメントB種よりも、温度ひび割れの低減効果が期待できる。
また、流動性や圧送性などのフレッシュコンクリートとしての性状は、一般的なレディーミクストコンクリートと大きな違いはない。コンクリート工場から出荷したフレッシュコンクリートをアジテータ車で運搬し、現場到着時のスランプ、空気量などの品質管理を規定の範囲内で制御することがが可能だという。
両社は、今回、第三者機関の建設材料技術性能証明を取得したことで、同技術を脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つとして、新TODAビル建設工事を含め、土木・建築分野の実構造物に対して積極的に展開していくとしている。
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