成功と失敗からの学びでは、導入効果として、残業時間の減少、生産性の向上、ワークライフバランスの充実が挙がった。しかし失敗例としては、或る米大手IT企業2社で、リモートワークを撤廃。要因は、従業員同士の対面コミュニケーションが不足し、その結果、競争力が低下してマイナス成長が転じてしまった。
光山氏は、「成功したケースでは、社員が出社することが必ず設定されていた。撤廃を決めた企業は、リモートワーク社員は100%在宅で出社することが無かったため、社員同士が対面でコミュニケーション(雑談)することが減り、イノベーションやコラボレーションが自然発生する機会が損なわれた」と解説した。
業務上不要なものと思われがちな雑談が必要な理由は、単に業務命令や伝達だけでは、アイデア創出などの化学反応が生み出されなくなってしまう。一例として光山氏は、コールセンターで雑談がチーム全体の生産性を高めるために有効とされ、社員の休憩時間を一致させ、対面で気軽に話し合う時間を設けたという。
リモートワークでコミュニケーション(雑談)を増やすには、コミュニケーションツール上に雑談チャンネルを立てておく、またはミーティングの冒頭に雑談することをルール化、オンライン飲み会やワークショップの開催などが解決策となる。
セミナーのまとめで、光山氏はリモートワーク成功のポイントを、「明確なゴールを設定しトップがコミット」「変革を推進するグループを設置」「いきなり大きく始めない/長期的に腰を据えて導入」「社風にあった改革を実行」「アドホックなコミュニケーションが生まれる場を用意」の5つのポイントを示した。
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