3Dレーザースキャナーの基礎知識と点群データの有効活用法設備、プラント関係者の方必見 点群取得と活用術セミナー(2/2 ページ)

» 2020年06月05日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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1秒間に最大200万点の点群を取得する3Dレーザースキャナー

 セミナー中盤には、Leica RTC360について、新発田氏が、「1秒間に最大200万点の点群を取得する高速3Dレーザースキャナーで、専用アプリ“Cyclone FIELD 360”を使用して、現場で簡単な点群データの合成に取り組める」と触れた。

 Leica RTC360は、最大測定範囲が130メートルで、距離精度は1ミリ+10パーツ・パー・ミリオン(ppm)。最大スキャン密度は3ミリ@10メートルで、動作温度はマイナス5〜40度、重さは5.35キロ。

 本体に組み込まれたGPSやIMU、コンパスにより、Visual Intertial Ststem(VIS、ビジュアル慣性システム」を行える。VISは、2カ所ある計測ポイント間の移動中に、本体に取り付けられた5台のカメラが周辺を撮影し、得られた画像や実装されたIMU、GPS、コンパスで、自己位置と移動量を検出する。また、システムは自動で動作するため、煩わしい作業はいらない。

3Dレーザースキャナー「Leica RTC360」

構造物の点群データをスライス表示し平面図を作成可能

 最後に、Leica CloudWorxを用いた点群の活用方法が解説された。Leica CloudWorxは、ライカジオシステムズの点群合成処理ソフト「Leica Cyclone REGISTER」「Leica Cyclone REGISTER 360」「Leica JetStream」のファイル形式に対応している上、編集した点群データを「AutoCAD」「Revit」「Navisworks」といったオートデスク製CADソフト上で編集できる。

「AutoCAD」「Revit」「Navisworks」に対応したクラウド型プラグインソフト「Leica CloudWorx」

 点群のスキャンデータを用いて、UCS(User Coordinate System)の設定や管理が行え、UCSの情報に基づき、点群データのスライス表示にも応じる。「例えば、システム上で、ユーザーが、ある施設の壁と床の点群が接触する交点を選択するだけで、UCSが設定可能なため、面倒な作業が不要だ。厚みを調整して、建造物の点群データをスライス表示することで、トレースして平面図を容易に作れる。さらに、点群データにポリラインを自動で重ねる機能もあるので、効率的にトレースが進められる」(新発田氏)。

点群データにポリラインを自動で重ねる機能

 点群データの中から確認したい部分だけを閲覧する機能も有しているため、点群情報の視認性が高められ、点群データから配管や型鋼を抽出し、3Dモデルも作れる。新発田氏は、「通常、配管や型鋼を点群データから3Dモデル化するのは難しいが、Leica CloudWorxはさまざまな国で使われている配管や型鋼のサンプルモデルを備えており、サンプルモデルからユーザーのイメージに一番近いものを選び、配管や型鋼の点群からそれぞれ2点選べば、容易に3Dモデルを作り上げられる」とアピールした。この他、点群データと設計情報を組み合わせて、干渉チェックにも取り組める。

配管の点群情報から3Dモデルを作成
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