空調の自動制御やトイレットペーパーの使用量を見える化するシステムを開発ファシリティマネジメント フォーラム 2020(2/2 ページ)

» 2020年05月22日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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空調の手動操作記録を教師データに自動制御

 セミナー後半では、IoTセンサーを用いた空調の自動制御やトイレットペーパーの使用量を見える化するシステムを紹介した。

 IoTセンサーを用いた空調の自動制御システムについて、井上氏は、「オフィスに配置したセンサーで収集した温湿度や照度、二酸化炭素濃度の情報と、手動で空調を操作した記録を教師データに、自動制御システムを構築することを構想している」と語った上で、同システムを開発するきっかけになったプロジェクトに触れた。

梓設計で構築した環境情報取得システムのイメージ 提供:ウフル

 梓設計が保有するオフィスの環境情報を視覚化した事例で、IoTセンサーやカメラ、マイク、ウェラブル、ネットワーク合計約230個を設置し、社員の心理状態やバイタル、照度、温湿度、揮発性有機化合物、気圧、二酸化炭素、風速といった13種類のデータ集めた。ウフル初の試みとしては、JIN製メガネ型ウェアラブルデバイス“JINS MEME”や“Apple Watch”を従業員に装着し集中度とバイタルデータを測定し、社員の体調やモチベーションを把握しやすくした。

 「梓設計のオフィスは、1フロアが5000平方メートルで、620人の従業員がフリーアドレスで働いている。広いオフィスのため、通常、会話をしたい社員を見つけるのに苦労するが、社員の位置を視認化し探す時間をカットした。また、空調に対する要望が多く、自動制御システム開発のヒントとなった」(井上氏)。

 続けて、「現場で、IoTセンサーをそのまま置くのはデザイン面で問題があると気付き、コンセントに内蔵したIoTセンサーを開発する契機となった」とコメントした。

コンセント内蔵型IoTセンサー 提供:ウフル

 リ・プロダクツと共同開発しているトイレットペーパーの使用量を見える化するシステムは、個室トイレのドアとトイレットペーパーホルダーに加速度センサーを取り付け、トイレットペーパーの減りやドアの開閉回数といったデータを収集し、IoTゲートウェイを介して、クラウドに送信する。同システムを使うことで、清掃員が利用状況に合わせて適切にトイレットペーパーの補充が行える。

トイレットペーパーの使用量を見える化するシステムの概要 提供:ウフル

 井上氏は、「現状、多くの施設で、トイレットペーパーは定期清掃の際に、追加されており、使いかけのトイレットペーパーが捨てられるケースも少なくない。日本衛星工学会の指標によれば、入居者数3000人の施設で、トイレットペーパーの月間調達量は3000ロール。ロール単価40円で計算すると、年間144万円のコストがかかり、30%が途中で廃棄されると想定すれば、年間43万円の費用を無駄にしていることになる」と述べた。

 さらに、「東京消防庁の資料によると、東京都内には地上10階以上の施設が2.2万棟あり、年間のトイレットペーパー廃棄量は2.4億ロールに及び、代金は95億円以上になる。トイレットペーパー2.4億ロールのライフサイクルで発生する二酸化炭素を試算した結果、9.6万トンとなり、環境にも優しくない」と解説した。

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