ウフルは、IoTセンサーやカメラなどを利用して、得られたデータを活用した空調の自動制御やトイレットペーパーの使用量を見える化するシステムの開発を進めている。
日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は2020年2月19〜21日、東京都江戸川区のタワーホール船堀で、第14回 日本ファシリティマネジメント大会「ファシリティマネジメント フォーラム 2020」を開催した。
会期中に実施された講演のうち、ウフル X United Business Development Center 井上哲也氏が行ったセミナー「未来志向型のFM IoTを活用した時間戦略と気候変動対策」をレポートする。
ウフルは、2006年に設立したベンチャー企業で、オフィスや工場などの環境情報を見える化するシステムを展開している。井上氏は、「当社は、IoTセンサーやカメラの使用方法に加え、ネットワークとクラウドの構築に精通したエンジニアを擁しているため、ウフル単体で環境情報を収集するシステムを作り上げられることだ」と話す。
同社は、オフィスとショッピングモールの温湿度や照度、電力使用量などを可視化した実績を有している。オフィスの事例は、ウフルの東京本社で実施。従業員や備品にビーコンを装着し、両方の位置を視覚化して、フロアのレイアウトや動線の改善に生かした。室内には、IoTセンサーを備え付け、温湿度や照度、騒音、二酸化濃度を数値化して、換気や快適性の指標に活用。また、部屋の中に、カメラやマイクを設置し、撮影した従業員の映像や収録した音声を基に、心理状態やコミュニケーション活動を分析して、従業員のモチベーションアップに役立てた。
「ビーコンやIoTセンサー、カメラなどで取得したデータをPCで閲覧可能なダッシュボードで確かめられるシステムを作成した。ダッシュボードは、社内にいる従業員の現在地を調べられるため、意思疎通を図りたいスタッフを探す手間が省ける」(井上氏)。
ショッピングモールの事例では、多様なIoTセンサーやカメラを用いて、温湿度や電力使用量、トイレの使用状態などを視認化した。温湿度は二酸化炭素濃度と合わせて、後付けできる専用のセンサーでセンシングし、得られた情報は会議の生産性向上に利用された。施設内に設けられた機器のモーターには、加速度センサーを搭載し、取得したデータから正常時と異常時の様子を分析し、故障時の予兆を検査した。
建物内に配置されたセキュリティカメラの映像は、画像解析システムに取り込み、来館者の数や年齢、性別を抽出し、マーケティングに用いた。個室トイレのドアには、マグネットセンサーを取り付け、利用頻度や使用状況をビジュアライズし、清掃業務の効率を上げた。「IoTセンサーやカメラ、システムを活用することで、現場に赴かずに、監視対象設備の状況が分かる施設となった」(井上氏)。
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