テレワークやサテライトオフィスの効果と実態をザイマックス不動産総合研究所が調査。さまざまな企業で導入が進む一方、勤務するオフィスワーカーが効果を実感できていないことが明らかになった。
ザイマックス不動産総合研究所の主任研究員 石崎真弓氏は、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)が主催した「ファシリティマネジメント フォーラム 2020」(2020年2月19〜21日、タワーホール船堀)で、「ワーカーが幸せに働ける環境とは? フレキシブルワークプレースという選択肢」と題した講演を行った。
講演では、定量的な調査や海外の事例を基に、働き方改革に関連したワークプレースについて紹介した。働く人の幸福感が業務のパフォーマンスにも良い影響があることに触れ、労働環境の改善に対してFMができることを示した。
ザイマックス不動産総合研究所では、2015年から全国の大都市圏にある企業に対して、オフィス環境の実態調査を行っている。2018年からは、首都圏のオフィスワーカーを対象に、働き方に関する調査にも取り組む。今回の講演では、両調査で得られたデータを基に、働き方とワークプレースの関係性について、「働き方とワークプレースに起こっている変化」「ワーカーが快適に働ける環境とは」「フレキシブルワークプレースの選択肢」といった3つのアジェンダで解説した。
働き方とワークプレースの関係性を解き明かす3つのアジェンダ
1.働き方とワークプレースに起こっている変化
2.ワーカーが快適に働ける環境とは
3.フレキシブルワークプレースの選択肢
働き方とワークプレースに起こっている変化のアジェンダでは、首都圏や名古屋、大阪、福岡の約1300箇所に及ぶオフィスで行った実態調査を紹介し、オフィスの利用人数が増加傾向にあることを明かした。
調査によると、オフィスの利用人数が「増えた」とする企業が「減った」とする企業数を例年上回っており、関連してオフィスの面積も拡張している。空室率に関しては、東京23区に限れば1%を切った状態が続いている。石崎氏は「ビルの供給は多いが、青田買い的にテナントが決まっている状況」と現状を説明した。
オフィスに人が増えている状況では、ワーカー1人あたりの面積が縮小傾向となるが、一様に縮小していないという。
石崎氏は、「調査結果によれば、オフィス面積を拡張した企業では、固定席や会議室、フレキシブルに使えるスペースの面積が増えていることが見てとれる。一方、オフィス面積を縮小した企業は、固定席や会議室のスペースを削減しているが、レイアウト変更によってフレキシブルなスペースを増やしている」と述べた。
続けて、「オフィスワーカー1人あたりの面積は、企業の取り組みによっても違いが出る。例えば、フリーアドレスや在宅勤務、メインオフィスとは別にシェアオフィスのような場所を整備しているか否かでも1人あたりの面積は異なる。各種の取り組みを行うことで、1人あたりの面積を柔軟に広げられる」と話す。
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