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» 2020年04月28日 10時00分 公開

欧州FM見聞録(1):【欧州FM見聞録】ヨーロッパ各国で体験したFMから、将来を読み解く (1/3)

建設業界でも大手ゼネコンを中心にIoT活用やBIM連携など、先進的な事例が見られるようになってきている。本連載では、ファシリティマネジメント(FM)で感動を与えることを意味する造語「ファシリテイメント」をモットーに掲げるファシリテイメント研究所 代表取締役マネージングダイレクターの熊谷比斗史氏が、ヨーロッパのFM先進国で行われている施策や教育方法などを体験記の形式で解説する。

[熊谷比斗史(ファシリテイメント研究所 代表取締役マネージングダイレクター),BUILT]

 “ファシリティマネジメント(FM)”というキーワードは、だいぶ世の中に知れ渡ってきているかと思うが、現在でもよく分からない方が多いかと思う。一言(ひとこと)で言い表せる概念ではないが、“見聞録”と題した本稿で、筆者の経験を通してどういうものであるか、また、FMをキャリアとして考えるきっかけになればと願っている。

サービスとしてのFMとの出会い

スキポール空港公団での記念撮影 

 1996年4月30日、オランダスキポール空港に降り立った。当日は女王陛下の誕生日で、街中が遊園地のようにキラキラしていた。まさか、翌日から人生を変えるような出会いが待ち受けているとは夢にも思っていなかった。

 翌日から日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)の視察団として訪問した銀行や空港公団、市役所、中央省庁では、どこに行っても印象的な歓待を受けた。ヨーロッパのハブ空港でもあるスキポール空港公団では、まず受付を済ますと、受付に併設されたカウンターでコーヒーを勧められた。程なくして、身長2メートルはあろうかと思える真っ赤なダブルのスーツを着たファシリティマネジャーGeert Freling氏が現れ、あいさつを交わした。

  Freling氏が案内した会議室には、オランダ語と日本語の通訳が待ち構えていた。Freling氏が一通りプレゼンした後、オフィス内ツアーが行われ、ツアー途中には、施設内に設置された階段の前で、待っていたカメラマンに記念撮影された。

 夜は風車がシンボルとなっているレストランで会食のおもてなしを受けた。これらは、「全て従業員が利用できる」と Freling氏から手渡された社内の「サービスカタログ」に記載されていた。「FMはサービスである。ホスピタリティが重要だ」。オランダでの2日間、どのファシリティマネジャーからも言われ、その言葉を体感することができた。オランダでの体験を通してFMの本心を確信し、自分が続けていくべき仕事であることの期待に興奮が冷めやらなかったのを今でも忘れていない。

新しい専門領域としてのFM

 筆者とFMの出会いはさらにさかのぼる。新卒で入社した会社で、ソフトウェア開発をしていたが、私は新しい領域のプロになりたいと思っていた。そんな時、自分たちのオフィスを作るプロジェクトチームに抜てきされた。だが、建築や設備、スペースデザインの専門家を前に、プロジェクトチームが思い描いたコンセプトを正確に実現できなかった。数少なく達成した試みも、ユーザーから思うように取り入れられず挫折感を味わった。

 その後、出会った概念がFMで、悔しい思いを払拭(ふっしょく)する専門性があると予感がした。一方、建築や設備、デザインの専門家に囲われ、疎外感の中で悩む日々は続いた。そんな最中に、前述したオランダでのFM体験があった。建築や設備、オフィスのデザイン、受付やケータリングなども全て、「ユーザー」に向けてのサービスであり、それを統合的に整えるのがファシリティマネジメントであると確信した。

 オランダでFMを経験した後、ヨーロッパのFMに興味を持ち、毎年開催される欧州でのFMカンファレンスに参加するようになり、オランダのFM大学院とイギリスに存在するFMアウトソーシング会社での研修へとつながっていく。

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