ドローンによる起工測量などを展開するFCコネクトは、3次元起工測量の前に行う現場踏査や照査などでICTを活用し、測量業務の効率化を進めている。
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福井コンピュータアーキテクトは2019年11月16日、セミナー「施工を“見える化“する3次元体感会」を都内で開催した。
当日行われたセッションのうち、ドローンによる起工測量などを展開するFCコネクト 代表取締役社長の福士幹雄氏による講演「建設現場での3次元、VRの取り組み 〜現場のみえる化とデータの利活用〜」をレポートする。
国土交通省は2016年、ICTなどを活用して建設現場の生産性を2025年までに20%向上することを目標にした施策「i-Construction」を掲げた。i-Constructionでは、測量から検査までの建設プロセスで、「3次元起工測量」「3次元設計データの作成」「ICT建機による施工」「3次元出来形管理などの施工管理」「3次元データの納品」の5項目を行うことを推奨している。5項目に取り組むことで、起工測量にかかる時間の短縮や土量算出の精度アップ、丁張りの不要、建機と接触する可能性の減少といったメリットが享受できる。
福士氏は、「建設プロセスをより効率的にするには、i-Constructionが勧める5項目に制約されず、プラスして、ICTを用いて得られたデータをさまざまなことに利活用することが重要だ」と指摘した。
国土交通省が2018年に開催したi-Constructionの講習会で提示された資料によれば、ICT施工には2つのステップがあり、最初のステップは、従来の建設プロセスをICT施工に置き換えることで、次のステップはICT施工を応用することとある。「ICT施工の応用とは、各建設会社が独自開発したICTを用いたや工法や技術を指す。ファーストステップでICT施工に慣れ、セカンドステップで、各社がノウハウを生かしたICT施工を開発することにより、真の生産性向上が実現する」(福士氏)。
i-Construction講習会の資料では、起工測量と3次元データの作成を精算変更してまで行う理由について、設計照査により手戻りを防げることや管理断面間も含めた面的な起工測量に基づき正しく設計変更を話し合えることと記載。また、ドローンやTLS(Terrestrial Laser Scanning )を利用した面管理の利点については、従前の管理断面における平均断面法でなく、面的な形状を踏まえた正しい数量算出の根拠が得られることと、ICT施工で省いた丁張りを出来形管理のために設置する手間を無くせることと、意義が強調されている。
福士氏は、「FCコネクトでは、i-Construction講習会で発表された資料を踏まえ、3次元起工測量の前に行う現場調査や踏査、発注者から提供された現場情報の確認にICTを利用し、作業を円滑化している。設計照査や課題抽出、ICTの活用計画、使用するICTの協議、施工計画書作成に念入りに取り組むことで、スムーズに3次元起工測量や3次元データの作成が進められる。3次元起工測量で得られたデータは関係者が確かめられるように見える化し、着工から竣工までフル活用して、業務全体の効率を高めている」と述べた上で、3次元起工測量の前に行う現場踏査や照査などでICTを活用した事例について触れた。
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