東京大学らが今回の技術を開発した要因には、一般的なコンクリートがセメントや砂、砂利に水を加えて製造され、セメントの製造では多くのCo2が発生し、生じる量は全産業の5%にも達していることがある。
また、毎年約3500万トンと大量に発生するコンクリートがれきの使い方が問題になっていることもある。現状でも、コンクリートがれきの国内におけるリサイクル率は98%と高いが、そのうちの約9割は路盤材料として、道路建設の際に舗装の下に埋められているだけであり、リサイクルを成し遂げていないという。
加えて、近年建設需要の低迷で、コンクリートがれきを今後も路盤材料として吸収し続けることは困難と見られており、残り1割のコンクリートがれきからは、砂や砂利が取り出され新しいコンクリートの製造に再利用されている。だが、取り出した砂や砂利の表面に付着物があると、製造したコンクリートの性能が低下するため、付着物の除去が必須となるが、作業には多くのエネルギーと手間がかかっている。
さまざまな課題からコンクリートがれきの用途拡大と、新たにセメントを用いることなく、多大なエネルギーや面倒もかけずに質の高いコンクリートを再生できる技術開発が強く求められていた。
廃木材についても、年間で約800万トンを超える量が出回っているが、大半は最終的に焼却や埋め立て処分され、リサイクルを進められていない。今後、1965年代に作られた建築物の更新や国内の木材資源の活用に伴い、より多くの廃木材が発生すると予想されている。
今後の展開について、東京大学らは、内装材や外壁材、合板の代替など、さまざまな土木・建築材料で、新リサイクルコンクリートを利用する考えを示した。今回開発した技術を応用して、セメントの代わりに植物で砂や砂利を接着した新たなコンクリートを作れることも示唆している。
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