近年各地のクリーンセンターなどで、ごみの中に紛れ込んだリチウムイオン電池が、処理中に発火する事故が多発している。富士通特機システムは、こ問題打開のため、施設内の火災発見に有効な発火監視通報システムを開発した。
富士通特機システムは、「第2回 資源リサイクルEXPO」(会期:2020年2月26〜28日、東京ビッグサイト)に出展し、発火監視通報システムをPRした。
発火監視通報システムは2018年5月に開発し、2019年12月から受注をスタートした製品で、赤外線/可視複合カメラやデータ処理装置、ネットワークサーバ、専用アプリケーションで構成されている。
システムは、赤外線/可視複合カメラで対象エリアを撮影した映像をPCやスマートフォン、タブレットなどにクラウドを介してリアルタイムに配信する。施設内で火災が発生した際に、アラートの通知も行えるため、常時オペレーターを配置せずとも、施設の管理が進められ、コストカットに貢献する。また、アラーム発報前後の映像を記録する機能も有しており、発火原因などの解明に効果的だ。
2つの機能を持つ複合カメラのうち、高解像度赤外線カメラでは、異常温度を高速検知し、高い視認性を備えるハイビジョンカメラでは発火位置を特定して、煙で周辺の視界が悪くても火元を簡単に認識する。さらに、従来比50%以下の小型・軽量化を実現したネットワークカメラで、システムに要する配線はLANケーブル2本だけで、短工期で取り付けられる。
具体的なシステムのワークフローは、まず赤外線カメラで監視範囲の温度を測定し、取得した温度情報をもとに、発火した面積を算出して、指定した判定温度や時間を超えると火災が起きたと認める。
赤外線とハイジョン撮影された映像は、データ処理装置へと送られ火災を判定。非常時にはケーブルで連結された自動火災報知設備などで、警告音を鳴らす。スマートフォンやタブレットといった登録端末に対してはクラウド経由で、詳細情報が発信され、場所を問わずに利用者が状況を確かめられる。自動録画情報をシステム内に装備しているので、事後に火事を招いた要因が解析できる。
富士通特機システムの担当者は、「発火監視通報システムは、独自技術によりスマートフォンやタブレットでも、現場の状況を高精細な映像で見られることが特徴だ。このため、火災が発生し、外出している上長の指示を仰ぐ時、上長が映像を確かめた際に、状態が分かりづらいといった問題が生じにくい」と説明した。
加えて、「消火設備と連動も手軽で、迅速な初期鎮火に寄与する他、消防署や救急隊、警察に通報するシステムを構築することも簡単だ」と補足した。発火監視通報システムは現在、スタジアムや商業施設、清掃工場で適用されている。
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