大和ハウス工業は、米国で商業施設事業を本格的に始動させる。現地法人を通じ、商業施設や賃貸用不動産などを購入/開発するとともに、戸建住宅事業も合算して2021年度には売上高1550億円を目指す。
大和ハウス工業は、米国で商業施設事業を開始したことを2020年2月18日に公表した。第1弾として、カリフォルニア州アーバイン市内の商業施設「TRADE(トレード)」の物件を取得し、施設の運営管理をスタートさせた。
トレードは、日本食レストランや美容系サービスなどの店舗が入居する商業施設で、ネット通販による代替が困難な業態の31店舗が入居している。実際の運営管理は、現地法人のDaiwa House Texas(ダイワハウステキサス)を通じて、全米大手の不動産会社Lincoln Property Companyグループに委託する。
大和ハウス工業としては、これまで日本で取引してきた4200社以上のテナント企業とのネットワークを活用して、空きテナントに対して日本企業の誘致を進めていく。
ここで得る商業施設の運営管理やリノベーションの経験を蓄積していき、日本で永年培ってきた不動産管理やリフォーム手法も加えて、今後の日米や他の国での事業展開に役立てる。
大和ハウス工業の流通店舗事業は、米国で1970年代に活況を呈したロードサイドの郊外型店舗が、日本でも求められるようになると着想したことがきっかけで、1976年に着手。翌年には、不動産を有効活用したい土地オーナー(Land Owner)と、ビジネス拠点の候補地を探すテナント企業(Company)を結びつける独自の土地活用システム「LOCシステム」の営業を始め、これまでに日本だけで4.3万件以上にも上る店舗関連の建築を受注してきた。
一方で海外進出は、2011年12月に開設した台湾事務所を皮切りに、日系企業の台湾工場やショールーム、飲食店などを手掛けてきた。今回の進出は、日本企業の出店ニーズが高いエリアだと見込んで、米カリフォルニア州での流通店舗事業を開始するに至った。
今後は、米国で現地法人を通じて、商業施設や賃貸用不動産などを開発しつつ、グループ内のスタンレーマーチンが手掛けている戸建住宅事業と合わせ、2022年3月期に1550億円の売上高を目標に掲げる。また、既に展開しているASEANやオーストラリアなどの事業も発展させることで、同月期に海外の売上高全体で4000億円とする中期計画を示している。
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