ただ、スリーエスバックホーを現場で使用していくうち、センサーを装備したヘルメットの重さや毎日必要な充電の面倒さ、別の建機のオペレータに反応するといった不満が現場から寄せられた。そこで、全方位360度をカバーする磁気センサーを採用したフォーエスバックホーを新開発した。
機器の基本構成は、建機側には、検知器本体、緑/黄/赤の3色積層灯(運転席/屋外)、電波受信アンテナ、分岐用BOXを設置。現場作業員は、警報のみまたは警報と振動で危険を知らせる受発信機のタグをヘルメットに取り付ける。「タグは、現場管理者が一目で、タグを付けているか、付け忘れているかを判別できるようにヘルメット装着タイプとした」(安田氏)。
オプションでは、オペレータのタグを誤って検知するのを防ぐ「非検知エリア設定装置」、タグを付け忘れて現場入りすることを予防する「タグ所持検知装置」、タグの電池残量を確認する「タグチェッカー」も用意されている。
フォーエスバックホーは、検知器から発する磁気が、目視範囲はもちろんながら、物陰や障害物の向こう側にいる人や建機も検出する。検知エリアは、建機周囲の半径3〜12メートル(3/4/6/8/10/12メートル)の6タイプから、外側/内側の2段階に切り替えダイヤルで設定。外側/内側でそれぞれ警報音が異なるため、運転手は危険度を知ることができる。
佐野テクノパーク統括工場のデモでは、可視化するため、建機を中心に4メートルと8メートルの円を地面に描き、2段階の警報機能を実演した。
外側の円にタグ保持者が侵入した場合は、作業者タグの警報と振動を鳴らし、建機内や車体に設置された積層灯は黄色が点灯する。建機に近い内側エリアでは、建機の動作そのものが停止し、警報が鳴り続け、積層灯は赤色に変化。すぐに建機の制御が解除されないように、停止解除は警報が鳴り止んだ後にも5秒間のタイムラグが設けられている。現場のニーズに応じて、建機を止めないようにすることも可能だという。
他の特徴では、受信機には3チャンネルが備わっており、検知するチャンネルを使い分ければ複数の建機が稼働している現場にも導入することができる。人や建機を検知する無線には、“特定小電力無線局”を採用しているため、発射する電波が微弱な「微弱無線局」に比べ、バラツキの無い安定した検知距離が実現する。
アクティオでは、既にフォーエスバックホーの検知器本体で200台、タグは650台を用意しており、2020年6月までに本体400台とタグ1000台の増設を計画している。
今関氏は、レンタル会社が建機の現場安全システムを展開することについて、「メーカーは、これから発売する新製品に、こうした安全機能を搭載していくことが想定されるが、当社は既存の建機を対象に後付け式で、建設現場の事故防止を広げていく」と話す。
次の展開としては、道路機械事業部 業務部長 稲葉誠一氏が「バックホーで電線を切ってしまうケースや埋設管を掘ってしまう事故などへの対応もしていきたい」とコメントした。
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