構造では、吹き抜けで空間を垂直につなぎ、水平方向では屋内外を一体化させるオリジナル工法「フレキシブルβシステム」を採用。この工法では、H鋼の梁(はり)と柱で、大開口や最大スパン9メートルの無柱大空間を可能にする「高強度梁WHビーム/高強度柱WHコラム」を壁面に埋め込んでいるため、梁や柱のスペースが部屋の角に見えず、位置も自由に移動でき、各階の間取りや窓の位置といった設計の自由度が上げられる。
また、室内の天井が無垢材、屋外の庇(ひさし)はサイディングと、異なる部材ながら、同じ木目調とすることで、空間の連続性が保たれている。
フレキシブルβシステムは、鉄骨造でありながら大開口を可能にする利点から、限られた敷地で空間を大きく取る必要があるロードサイドなどの店舗併用住宅やショップ、事務所などで採用されることが多いという。自社工場で部材を製造し、現場では組み立てるだけで済むため、工期短縮にもつながる。
空に開放された吹き抜けを設けていることで、差し込む太陽光を壁に反射させて1・2階にも自然光を届ける「コートハウス」も考慮され、壁に囲まれていても居室を暗く感じることがない。
外観の特徴では、内側で雨水処理しているため、雨樋(あまどい)が外から見えず、エアコンの室外機も屋上に設置するなど、スマートなたたずまいとなる工夫を随所に凝らしている。「展示場は、旧東海道にほど近く、往来する人でもファサードが気になって、中を見たいと、ここを来訪されることも多い。先日は、たまたま通りがかった欧州からの旅行者も興味を持たれて見学に来られた」(細川氏)。
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