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» 2019年12月24日 10時00分 公開

労働経済動向調査にみる「建設技術者への過不足感の推移」、人手不足はやや沈静化か?建設業の人材動向レポート(16)

本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をさまざまな観点からレポートしている。今回は、建設技術者などに関する「労働者過不足判断DI」のデータを長期時系列で読み解く。

[ヒューマンタッチ総研,BUILT]

 今回は、四半期毎に労働力の過不足の状態を事業所に対して調査している厚生労働省の「労働経済動向調査」から、建設技術者などに関する「労働者過不足判断DI」※1を長期時系列で紹介する。

※1 「労働者過不足判断DI(Diffusion Index)」とは、不足と回答した事業所の割合から、過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値であり、値が大きいほど人材不足感が高いことを表す。

■建設技術者・技能工ともに人手不足感が年々高まる

 建設技術者と建設技能工の過不足判断DIの推移をみると、建設技術者は2010年5月の△3ポイントから上昇傾向が続き、直近の2019年11月では63ポイントにまで上がっている(図表1)。

 調査結果の内訳を見ると、16%が「大いに不足」、48%が「やや不足」、1%が「やや過剰」、35%が「適当」と答えている。

 建設技能工についても、2010年5月の△10ポイントから上昇が続き、2019年2月には71ポイントまでアップしたが、その後11月には56ポイントまで低下している。

 2019年に入ってからは、建設技術者/建設技能工ともに過不足判断DIは下がっており、人手不足感はやや沈静化に向かいつつあるものの、依然として厳しい状況にあることがうかがえる。

【図表1 建設技術者・技能工の過不足判断DIの推移】 出典:厚生労働省「労働経済動向調査」より作成

■建設業では正社員の人手不足感も強い

 次に「正社員など※2」の過不足判断DIを建設業、製造業、情報通信業の3業種についてみると、直近の2019年11月では、建設業が54ポイントで最も人手不足感が強く、次いで情報通信業が52ポイント、製造業が28ポイントになっている(図表2)。

 時系列では、建設業、情報通信業、製造業ともに2019年に入ってから過不足判断DIは低下傾向であり、3業種ともに正社員への人手不足感はやや落ち着いてきているようである。

※2 「正社員など」は雇用期間を定めないで雇用されている者または1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者

【図表2 産業別の正社員などの過不足判断DIの推移】 出典:厚生労働省「労働経済動向調査」より作成

■まとめ

 厚生労働省の「労働経済動向調査」から、建設技術者・建設技能工はともに2010年以降、人手不足感が年々強まってきたこと、また正社員についても、足元では製造業や情報通信業以上に建設業の人手不足感が高いことが分かった。

 ただし、2019年に入ってからの過不足判断DIは低下傾向で、2020年に向けても人手不足感はやや沈静化するのではないかと思われる。

著者Profile

ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)

ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。

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