大成建設は、カネカの太陽電池モジュールを用い、ビルの外壁と窓で発電する発電システムを開発した。
大成建設とカネカは共同で、ビルの外壁や窓を太陽電池モジュールと一体化させた新たな発電システム「T-Green Multi Solar」を開発した。
新システムは、高い発電効率に加え、採光・眺望・遮熱・断熱の各機能と意匠性を備え、災害時には独立した非常用電源としても機能する。
近年は、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みの一環で、再生可能エネルギーを導入して環境負荷低減を進める企業が増えている。さらに、多発している自然災害とそれに伴い引き起こされる長時間停電への対策として、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)やLCP(Life Continuity Performance:災害時の居住継続機能)の観点からも、自立電源を確保するニーズは高まっている。
しかし、建物の屋上に、太陽光発電設備を計画する場合は、設置スペースが限られているため、発電設備を設置するのが困難だった。
大成建設では、2014年に建設した技術センター内のZEB実証棟で、外壁など外装を利用した太陽電池ユニットを開発/適用。発電性能の検証・改善などに取り組んできたが、発電効率の向上と意匠性の両立が課題だった。
そこで、世界最高クラスの効率的な発電モジュール製造技術を持ち、住宅分野で瓦一体型太陽電池の導入実績を有するカネカの太陽電池モジュールと、大成建設が保有する建材一体型太陽電池の設計・施工ノウハウを組み合わせることで、外壁・窓で発電する外装システム「T-Green Multi Solar」を開発した。
太陽光パネルは、太陽電池モジュールを外装パネル化したソリッドタイプと、窓ガラスと一体化したストライプ(縞)状の太陽電池を配置する透過性を確保したシースルータイプの2種類。壁と窓の組み合わせにより、さまざまな建物外装への適用が見込まれる。
2タイプのパネルの耐久性は、一般的な外装材と同等で、太陽電池が外装材と一体化しているため、施工性に優れ、発電を30年以上も持続するという。
災害時に停電した際は、独立した非常用電源として使用することが可能だ。また、蓄電池と合わせれば、使用範囲や期間を自由に設定することもできる。
今後、両社は、都市型ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)を実現する新たな創エネルギー技術として、環境経営に積極的に取り組む企業やBCPを強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、LCPを強化したい集合住宅などに、提案していくとしている。
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